安政年間に創業したという老舗の料亭。屋号の由来となっている梅の古木と見越しの松を仰ぎながら表門をくぐり、玄関を入ると目前に太鼓橋が出現する。橋の左右には情趣豊かなこぢんまりした中庭。門をくぐった瞬間から、香梅咲での美味しい時間は始まっているのだ。

　「相馬樓」のすぐ隣という地の利もあって、酒田舞娘を座敷に招いての食事会も珍しくないという。昼のレディース懐石が2,100円前後から、夜でも5,250円から10,500円とリーズナブルな価格設定を思えば、別料金の舞娘の花代を加えても手の届く遊興なのではないだろうか。

　肝心の料理は、日本海の新鮮な海の幸、出羽の山々からの恵み、庄内平野で収穫された旬の食材がふんだんに使われている。自家製のあわせ味噌の焼きおにぎり「弁慶めし」は、この土地独特のものだ。献立の中で地域の味と京の風情とが絶妙にからみあっている。ここにも北前船がもたらした上方文化が息づいているのだ。

住所  ：  山形県酒田市日吉町一丁目3-16 TEL  ：  0234-23-3366 営業時間  ：  （昼）11:30-14:00（夜）16:00-22:00 定休日  ：  不定休 料金  ：  (昼)2,100円～　(夜)5,250円～ HP  ：  http://www6.ocn.ne.jp/~kamezaki/

　いくつもの鮨店が味を競い合う中で、評価が高いのがかつての料亭街に店を構える鈴政だ。ネタの新鮮さは言うに及ばず、シャリと塩へのこだわり、客への気配りがまた一級品。カウンターはもちろんのこと、テーブル席であっても握りたてをひとつひとつ出してくれるのである。どこの席であってもすべてのネタを新鮮なうちに食することができるのだ。

　大きな特徴は、それぞれのネタの一番おいしい食べ方を提示してくれることにある。鮨は醤油でいただくもの、などと決めてかかっては絶対に損をする。粗塩にゴマをまぶしたヒラメ、ウマヅラハギに肝醤油、古門フグには紅葉おろしと浅葱など、醤油オンリーの食べ方では思いもよらなかった味の広がりを堪能できる。

　寒い時期に訪れたならぜひ試したいのが“寒鱈汁”である。ぶつ切りにした寒鱈のダイナミックな味噌仕立ての汁だ。鮨に限らずどんな品でも素材の味を最大限に引きだしてくれる。

住所  ：  山形県酒田市日吉町一丁目6-18（日枝神社鳥居下） TEL  ：  0234-22-2872 営業時間  ：  （昼）11：30-13：30 （夜）16：00-21：30（日曜・祭日は20:00まで） 定休日  ：  無休 料金  ：  おまかせコース3,150円～ HP  ：  http://www.suzumasa.com

　客室の扉を開けると、目に飛び込むのは大きなガラス越しの日本海。その水平線に沈む夕日の美しさが絶景と評判の宿だ。訪れた日はあいにくの雨だったが、それでも窓からの景色を目に留めた瞬間、おもわず感嘆の声をあげてしまったほど。大浴場からの眺めもまた然り。どこまでも続く海を眺めながらの温泉三昧はまさに大人の愉しみ。広々とした和室、自宅にいるかのようなくつろぎ感のある洋室ともに快適だ。

　ダイニング「竜宮殿」はモダンですっきりとした趣。魚、肉、野菜、白飯、香の物、果物と、ここでも海あり山ありの庄内の豊かな食材が夕食の献立でひしきめきあっていた。味わいさまざまな地酒も各種取りそろえ、グラスのほかデキャンタでもオーダーできる。シンプルながら絶品だったのが朝食のオーガニック野菜のサラダ。その後に運ばれる和食膳はヘルシーでほどよい量。明治6年創業の老舗で亀にまつわる伝説が宿の名の由来という。

住所  ：  山形県鶴岡市湯野浜1-5-50 TEL  ：  0235-75-2301　FAX:0235-75-2305 料金  ：  \21,150～（ツインルーム・室内温泉付）、 \14,850～（新客室） HP  ：  http://www.kameya-net.com/