歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



武家の妻娘たちが担った養蚕の様子(米沢織歴史資料館)。
紅花から取れる黄色と紅色を組み合わせ、紅花染の魅力を余すところなく表現した紬の振袖(染織工房 わくわく舘)。
時代のニーズに合わせて、男物から女物へと主力生産品は変わった。現在は紅花織に限らず、草木染全般に力を入れている。

名君が奨励した男物の絹織物生産

 米沢織は麻の裃地に始まり、絹織物が加わったのは名君の誉れ高い上杉鷹山の時代のことだ。国替えやお家騒動に伴う禄高の減少にもかかわらず、名家・上杉家の格式を保つため藩士の数を減らさなかった米沢藩は、民衆からの年貢は取立てつくし、藩士の俸禄も借り上げ。藩籍を幕府へ返上しようかというところまで困窮していた。上杉鷹山は自ら質素倹約の範を示し、農業を奨励し産業を創出して危機を脱出。そのとき生まれた工芸品や農産物が、現在の米沢地方の名産品になっている。

 鷹山はそれまで米沢で生産されていた麻に加え、さらに高級な絹織物の生産に着手。塩沢や小千谷などから職人を厚遇で招き、当時最高の絹織物技術を導入する。担い手は今まで非生産者であった武家の妻娘。武士の必需品である袴地を主力商品にすることで、流行などに左右されない消費者を確保し、安定的な収益を上げることに成功した。以来米沢は、質実剛健な土地柄を映した、上質で堅牢な男物の生地産地として定着する。

米沢織歴史資料館

住所

 : 

山形県米沢市門東町1丁目1-87

TEL

 : 

0238-22-1325

営業時間

 : 

9:00~17:00

定休日

 : 

12/29~1/1のみ

HP

 : 

http://www8.dewa.or.jp/yoneori/

歌舞伎と旅

バックナンバー