歌舞伎いろは

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重要文化財・旧中村家住宅のふすまに貼られた紫根染の布。
伝統的な絞りの技法で描き出される美しい模様。

幻となった紫根染が南部に再び甦る。

 ムラサキ草の根を使って染める紫根染は、日本古来の染色のひとつ。ここ南部地方には鎌倉時代以前に伝わったと言われる。江戸時代は藩の重要な産業として手厚く保護されており、南部産のムラサキ草の根は藩外に持ち出しを禁じられたほど高品質なものだった。しかし明治に入り、藩の保護がなくなるとともに紫根染は衰退し、それに携わる人もいなくなってしまったとか。

 一時完全に南部では途絶えた紫根染が、再び南部に甦るのは大正5年のこと。紫根染復興のために「南部紫根染研究所」が発足し、秋田県にいた技術者を招いて技術を習い、紫根染はもう一度この地で生産する活動が始まった。

 現在盛岡で紫根染を手がける藤田繁樹さんは、「南部紫根染研究所」の主任技師であった藤田謙さんの孫。謙さんが創業した「草紫堂」の三代目として、南部紫根染の伝統を守り続けている。「紫根染の技術は難しいというより、とにかく手がかかる。けれどその手がかかるところを手抜きせず、丁寧に世話をし、きちんと工程を辿れば世にも美しい色になって応えてくれるのです」と語る繁樹さん。「南部ムラサキ保存会」会長としても、八面六臂の活躍をしている。

紫根染工房「草紫堂」の主人、藤田繁樹さん。紫根染のほか、創始者の先々代が「紫根染めと夫婦になるように」と創めた茜染を専門に手がけている。
   
草紫堂

住所

 : 

岩手県盛岡市紺屋町2-15

TEL

 : 

019-622-6668

FAX

 : 

019-622-6667

営業時間

 : 

9:00~17:30

定休日

 : 

毎週日曜日・毎月1日

HP

 : 

http://www.ictnet.ne.jp/~soshido/

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