歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



豪胆な武将も心を寄せた御仏の教えを筆先から感じる、瑞巌寺での写経体験。
着工時には、政宗自身が縄張りを行った瑞巌寺。(右は国宝の庫裡)
手本のとおりに筆を運ぶうち、心がしんと静まってくる。(写経体験は要予約)
松島の絶景を望む高台に立つ観瀾亭は、伏見城の茶室を移築したもの。

華やかさ・強さの陰にある“伊達の心”の陰影を探る

 政宗は仙台に城を築くとき、同じくらい大規模に神社仏閣の造営を行った。当時の仙台にとって彼は征服者。必ずしも歓迎していない領民に対し、山の上に聳え立つ城で為政者としての威勢を示すと同時に、瑞巌寺のように古くからこの地で大きな信頼を集める神社仏閣を庇護することで、人々の心をやわらげようとしたようだ。

 政宗を知る手がかりとして、観瀾亭に残る床の間と襖絵も大いに興味深い。これは秀吉から拝領したもので、政宗はその美しさを愛でて大切にしていたという。家康の治世になっても、秀吉ゆかりのものを愛する政宗。周辺の事情に惑わされず、物の本質を評価して「自分が好きなものだから愛する」という彼の生き方のあらわれと見ることもできよう。

 「伊達」のイメージは、とかく表向きの華やかさにスポットがあたっているが、その奥には精神性を大切にするストイックさ、流行のものと古くからあるものを融合させて、新しいものを生み出すオリジナリティーへのこだわり、大きなものへと果敢に挑む骨っぽさなどが隠れている。光と対になる深い陰影…静かなる仙台の魅力はまだまだ奥が深い。

瑞巌寺

住所

 : 

宮城県宮城郡松島町松島字町内91

TEL

 : 

022-354-2023

営業時間

 : 

11月・2月 8:00-16:00 / 12月~1月 8:00-15:30

定休日

 : 

無休

入館料

 : 

700円(大人)
★写経体験 毎週木曜日 料金:1000円 所要時間:1時間

HP

 : 

http://www.zuiganji.or.jp/

観瀾亭

住所

 : 

宮城郡松島町松島字町内56

TEL

 : 

022-353-3355

営業時間

 : 

8:30~17:00(11月~3月は8:30~16:30)

定休日

 : 

無休

入館料

 : 

200円(大人)

HP

 : 

松島町公式HP

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