歌舞伎いろは

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金沢の一般中流家庭の結納品(再現/金沢市老舗記念館)
現代でも簡略化されることなく「贈る気持ち」を包む加賀水引。

柳宗理らも絶賛。用の美を極める芸術品

 加賀水引の歴史は明治に始まる。創始者は津田左右吉という人物で、それまで平面的だった結納の水引や、折型を、立体的な細工物に仕上げることを思いついたのが、始まりとされている。卓越した技術と斬新な発想で知られ、皇室に献上する品を制作したことも。また結納の品を離れ、水引だけで作る鎧兜などの飾り物など、新しい表現にも挑戦していたという。

 2代目の津田梅の代になると、全国的に加賀水引の名は知られるようになったという。世界的なプロダクトデザイナーであり、東京オリンピックのトーチホルダーのデザインも手がけた柳宗理らは、結納という伝統行事に使う、用の美を備えた芸術品として、加賀水引を高く評価。一部の上流家庭だけでなく、一般的な家庭でも、加賀地方では欠くべからざるものとして、結納の品々には加賀水引が飾られていたのだ。

 そして現代。とかく伝統行事が廃れつつある昨今だが、加賀水引の需要は衰えていない。むしろこういう時代だからこそ、「子どもの人生の門出を、最高の形で祝ってやりたい」という親の願いが、加賀水引という美しい縁起物を求めるのだろう。

金沢市老舗記念館

住所

 : 

石川県金沢市長町2-45

TEL

 : 

076-220-2524

営業時間

 : 

9:00~17:00(入館は16:30まで)

定休日

 : 

年中無休(展示資料の整理等のためひ必要とする期間を除く)

HP

 : 

http://www.kanazawa-museum.jp/shinise/top.html

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