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香川照之さん、政明さん「六月大歌舞伎」「七月大歌舞伎」に向けて
新橋演舞場「六月大歌舞伎」、「七月大歌舞伎」で九代目市川中車を襲名する香川照之さんと、五代目市川團子として初舞台を踏む香川政明さん。襲名、初舞台披露の皮切りとなる6月公演が、間もなく初日を迎えます。
初代猿翁、三代目段四郎 供養のためにも頑張りたい
昨年9月に、九代目市川中車襲名を発表してから9カ月。映像の仕事から完全に離れ、歌舞伎の稽古にとり組んできた香川さん。稽古に入ってあらためて、映像の世界とはまったく違う“歌舞伎の難解さ、壁の高さ”を痛感していると言います。
「日々、やるべきことにとり組んでいますが、長年、切磋琢磨してこられている歌舞伎俳優の皆さんのレベルには到底追いついていません。2回、3回、人生を生きても、まだ追いつかないのではないかと感じています。歌舞伎俳優として子どもの頃に知るべきことを、この年で知るわけですから、戸惑うことばかりです」。
それでも、襲名を目指して全力で走る香川さんを支えるのは、長男の政明さんの誕生によって芽生えた“使命感”。「映像の世界で足跡を残すことが使命だとは思っていません。歌舞伎の家に生まれた自分が、歌舞伎俳優として継いでつないでいくことが、生まれてきた使命だと思う」と、あらためて決意を語りました。
さらに、襲名公演の幕開けとなる「六月大歌舞伎」は、曽祖父である初世市川猿翁、祖父である三世市川段四郎の五十回忌追善興行であるため、「供養のためにも、初代猿翁と三代目段四郎の二人が喜んでくれるような形に近づけたい」という思いも強いようです。
『ヤマトタケル』
6月、7月と2カ月連続で上演される『ヤマトタケル』では、中車が帝(すめらみこと)を、團子がワカタケルを勤めます。 現実とオーバーラップするような『ヤマトタケル』の世界観を表すせりふが加筆されたそうで、猿之助(新 猿翁)も「新しい『ヤマトタケル』の時空間が開かれた」と、新生『ヤマトタケル』に感銘を受けたとのこと。どのような作品が観られるのか、期待が高まります。
『小栗栖の長兵衛(おぐるすのちょうべえ)』
長兵衛は、映像を見て、初代猿翁を真似る稽古を続けているという香川さん。「どれだけ近づけられるかというところに(成否が)かかっています。その近づけていく作業は非常に楽しい」。大衆心理を風刺した喜劇ということもあり、政明さんがその様子を見ながら笑っているそうで、「子どもが笑う芝居だということに勇気づけられた」そうです。
なお、長兵衛の化粧は、猿之助のアドバイスをとり入れて、改良をしているところだということで、本番では右の写真とは少し違った化粧が見られるかもしれません。
父である猿之助からは「その瞬間を命懸けでやる」という、自身も「映像の世界で持っていた認識」と同じアドバイスがあったそうで、俳優同士、活躍の場は違っても同じ意識を持ってやっていたことを実感したようです。
最後に「短い期間でしたが、精一杯やってきました。どれだけ恥をかいても笑われてもいいので、とりあえず一歩を踏み出してみます。迷惑をかけないように頑張ります」と意気込みを見せ、政明さんも「『ヤマトタケル』をよろしくお願いします!」と力強く公演をアピールしました。