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松江が挑む「南座 歌舞伎鑑賞教室」の『かさね』

松江が挑む「南座 歌舞伎鑑賞教室」の『かさね』

 5月8日(金)に初日を迎える 「第二十三回 南座 歌舞伎鑑賞教室」で『色彩間苅豆』に出演する中村松江が、公演への意気込みを語りました。

 『かさね』の通称でよく知られる清元の舞踊『色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)』。吉弥のかさねを相手に、初役の与右衛門を勤める松江に聞きました。

 ――初めての与右衛門、どんなお気持ちですか。

 よほどご縁がないとできないお役ですので、うれしいです。最近は立役一本ですが、若い頃は女方もしておりましたので、今回、吉弥さんがなさる「帯打ち」の迫力など、昔は実はかさねに興味がありました。与右衛門は、色悪といえば『四谷怪談(よつやかいだん)』の伊右衛門かこちらか、というほど代表的なもので、そういうお役を勤めるのも初めてですし、怪談物にもこれまであまり出させていただいたことがないので、まさに自分にとっては挑戦です。

 ――与右衛門とは、どんな人物なのでしょうか。

 本能の赴くまま、というか、人間は善悪両方をもち合わせていますが、そのバランスが悪に崩れたキャラクターなのではないでしょうか。宗家(藤間勘十郎)に見ていただきますが、私にとって師匠に当たる梅玉さんも、最初のお稽古には立ち会ってくださるお時間があるそうなので、いろいろアドバイスをいただきたいと思っています。

 前半部分は、お軽勘平の「道行」のような風情もあり、動きも少ないですが、とにかく“いい男”に見えるように。二枚目のお役は、化粧をして、衣裳を着て、立った姿をお客様に「二枚目だな」と思わせなければいけないので、一番難しいです。こういう立ち方をしたら格好よく見えるかなといった工夫は努力しますが、あとはどれだけ自惚れられるか、ですか(笑)。

松江が挑む「南座 歌舞伎鑑賞教室」の『かさね』

 ――この作品の面白さは、どんなところでしょうか。

 やはり“替り目”、だと思います。前半は与右衛門もすっとしていますし、かさねもきれいですが、髑髏が流れてきたあたりから突然様相が変わり、捕手が出てくると、与右衛門が悪いことをした人だとわかります。

 舞踊ですので、血が流れるようなリアルな演出はありませんが、後半はかさねの表情や動きもグロテスクになりますし、いわば地獄絵図のような展開になります。そして最後に“連理引き”。そのあたりもうまくお見せできたらいいなと思います。

 ――かさね役の吉弥さんと、相手役としてここまでご一緒するのも珍しいのでは。

 そうですね。昨年6月博多座の『鯉つかみ』では夫婦役でしたが、こういう機会はあまりないものですから、一日2回公演とはいえ、本当はもっと長くやらせていただきたいくらいです。

 ――南座の歌舞伎鑑賞教室へのご出演も初めてです。

 これは東京の鑑賞教室でも同じですが、歌舞伎を好きでご覧になる方もいらっしゃいますが、この鑑賞教室で初めて歌舞伎をご覧になる方も多い。初めてご覧になった『かさね』で、「つまらないな」と思われてはいけません。もちろん好き嫌いはあるものですが、その好き嫌いを超えた何かをお客様の心に残さなければ、演じている意味がないと思いますので、責任重大です。

 京都四條南座「第二十三回 南座 歌舞伎鑑賞教室」は5月8日(金)から14日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹にて販売中です。

2015/04/22