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愛之助、壱太郎が語る「第七回 システィーナ歌舞伎」
2016年2月19日(金)から、徳島県の大塚国際美術館システィーナ・ホールにて、3日間全6公演が行われる「第七回 システィーナ歌舞伎」『美女と野獣』に出演する片岡愛之助、中村壱太郎が、公演に向けての思いを語りました。
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和から洋へ、そして再び和の世界へ
愛之助、壱太郎ともに5回目の出演となる来年のシスティーナ歌舞伎は、映画やミュージカルなどでもよく知られる『美女と野獣』を歌舞伎として上演します。作・演出の水口一夫は、歌舞伎にするにあたり、台本はこれからと前置きしながらも、「応仁の乱の後の時代に置き換え、一人の武将が戦いに敗れ、3人の娘、息子と暮らしていて…」と大まかな構想だけは明かしました。今回もさまざまな演出でお客様を楽しませようとアイディアを膨らませているようです。
昭和11(1936)年5月歌舞伎座で、『春興鏡獅子』に出演している六世尾上菊五郎を見たフランスの詩人ジャン・コクトーは、非常に感銘を受け、10年後、映画『美女と野獣』を世に送り出しました。野獣の造形には『鏡獅子』の獅子の精が大きな影響を与えているといわれています。「これをもう一度歌舞伎にしたらどうなるだろうと、以前から思っていました」と、水口。歌舞伎が洋の世界で一つの作品となり、再び歌舞伎に戻ってくるという、まさに、システィーナ歌舞伎ならではの作品が誕生します。
「和と洋のコラボレーション」は、第1回から掲げているシスティーナ歌舞伎のテーマです。そのためにスタッフ、出演者は顔を合わせればいろいろ意見を出し合っていると、愛之助は言います。「先日の永楽館歌舞伎の往復のバスの中でも話し合いました。今年の永楽館では私が傾城を勤めて壱太郎さんが立役といったこともあったので、もしかしたら私が美女役かもしれません。どの役を勤めるか、また、何役やることになるのか楽しみですね」。
壁画に囲まれた空間から生まれる歌舞伎
システィーナ礼拝堂を原寸大に再現した壮大なホールに、毎回、作品に合わせた舞台をしつらえて上演するシスティーナ歌舞伎。「360度を客席で囲まれた舞台なんて、なかなか経験できません。非常に勉強になりました」と愛之助が言うと、壱太郎も「(ホール内の)バルコニーでも演技が繰り広げられたり、転換がすごくスピーディーなのも特徴です。あの環境をうまく活用して芝居ができているので、お客様にもいつもと違うことを感じていただけると思います」と、特殊な空間ならではの面白さに触れました。
「一番大事にしているのはシスティーナ“歌舞伎”、つまり、“かぶく”心を忘れないことです」と明言した愛之助は、壁画に囲まれた空間での歌舞伎について、「あの礼拝堂に合う芝居、演技法、衣裳が必要です。たとえば、壁画に負けない衣裳はもちろん、見得をする位置、宙乗りの飛ぶ場所も考えなければいけません。いろいろな引出しを開けて培ってきたものを出してつくる舞台です。毎回、新しい挑戦、いい勉強をさせていただいています」と、この公演の特徴を語りました。
「今に生きる文化、芸能としての歌舞伎、その歌舞伎版『美女と野獣』がつくられる…。その一端にいることができれば」と、やはり、つくり出す楽しみを語ったのは壱太郎。普通なら着ないような衣裳を着たりすることもあり、「自分も楽しいし、お客様も楽しんでいただける。今からどきどき、わくわくしている」と来年に向けて意欲を見せました。
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大塚国際美術館システィーナ・ホール「第七回 システィーナ歌舞伎」は、来年2月19日(金)~21日(日)の公演。チケットは12月15日(火)より、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹にて販売予定です。