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菊之助、勘九郎、七之助が語る「明治座 四月花形歌舞伎」
4月2日(土)に初日を迎える、「明治座 四月花形歌舞伎」の公演を前に、出演の尾上菊之助、中村勘九郎、中村七之助が、公演への意気込みを語りました。
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平成23(2011)年に若手の花形公演が始まって、8回目の明治座の歌舞伎公演。舞台を引っ張る菊之助、勘九郎、七之助の三人は、「ご一緒できるのが本当にうれしい」と口をそろえて共演を喜びました。しかも、演じるのは三人ともすべて初役とあって、「挑戦できる場がありがたい」と、新たなスタートを切る4月、それぞれに期するところがあるようです。
三人が顔をそろえる『女殺油地獄』
近松門左衛門が実話を元に書いた『女殺油地獄』は、菊之助の与兵衛に七之助のお吉。菊之助は、「近松作品では、男女の恋模様を描いていない唯一といっていい作品、と聞いています。複雑な家庭環境が生み出した青年の起こす事件。仁左衛門のお兄様の与兵衛を、いつもぞっとする思いで拝見していました。すでにお兄様から何度かお話をしていただき、自分のされてきたことを後輩に伝えようとしてくださっているのが、本当にありがたい。なんとしてもそれに応えなければ」と、気合も十分です。
勘九郎は惨殺された妻、お吉を発見する七左衛門で、「お客様がイメージを膨らませられる役づくり、芝居をしたい」と意気込みます。七之助は同じ近松の『心中天網島』をモチーフにした、デヴィッド・ルボー演出『ETERNAL CHIKAMATSU』に続く出演となり、海外の人からあらためて近松作品のすごさ、奥深さに気づかされたと言います。「人間味あふれる近松の魅力は今に通じるものです。ぜひ、いろんな方に観ていただきたい。心から芝居をして、素晴しい舞台にしなくてはいけないと思っています」。
昼の部は、曲書きがみせどころの一つになる葛の葉に七之助が初挑戦する『芦屋道満大内鑑』で幕を開け、上演の珍しい舞踊『末広がり』が続きます。十八世勘三郎が「勘九郎の会」で一度だけ見せたもので、「後に残る作品になるか、ここにかかっている」と、勘九郎は初役以上のプレッシャーを感じている様子。しかし、初役は稽古を重ね、「役を自分ができる楽しみ、役に魂を入れて肉体から出る言葉でその役になる楽しみ」に変えることで、いい緊張感にしていくと言う勘九郎、意欲満々で挑みます。
明治座にぴったりの『浮かれ心中』
「いつかやりたいと思っていました。喜劇の裏にある闇を井上ひさし先生がお書きになり、小幡欣治先生が栄次郎視点から脚本を書かれて、父が大好きで何度も演じました。人様を笑わせたい人間の茶番、茶番は本気に勝てるのか…。彦三郎のおじ様以外は皆初役なので、全然違う作品になると思います」と、栄次郎役の勘九郎。十八世勘三郎が初演するときに終わりが寂しいからと加えた宙乗りも、もちろん見せます。
菊之助が栄次郎と夫婦になるおすず役。「大好きだから栄次郎さんのためには、何でもやりたい女性で、栄次郎さんに対する思い、可愛らしさを大事につくり上げたい。稽古が楽しみです」。今までの台本にはなかった栄次郎の原作のせりふがあるそうで、「栄次郎さんから好かれる女性でないといけません」と菊之助が言うと、勘九郎も「そのせりふが言いたい」と、早くも息ぴったりのところを見せました。
夜の部のもう一本は、菊之助の椀屋久兵衛に七之助の松山太夫で見せる『二人椀久』。七之助は、「振付、音楽、衣裳・装置、三拍子そろった踊りです。幻想的な雰囲気から恋模様になり、テンポアップして最後はもの悲しく終わる。でも、雰囲気だけではなく、体を使って踊り込まないといけません」と語りました。数々の名コンビの舞台を目にしているので、「素晴しい踊りを汚してはいけない」と、気を引き締めて踊ることを誓いました。
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平成7(1995)以来21年ぶりの出演という菊之助、勘九郎と七之助も3年ぶりの出演となる明治座。「普段、歌舞伎以外の舞台をご覧になるお客様がたくさんいらっしゃる劇場。そういうお客様にも歌舞伎の魅力をお伝えしたいです」と菊之助が笑顔を見せ、「同世代が腹蔵なくいろんなことを言い合って、面白い舞台をつくり上げます」と約束して会見を終えました。
「明治座 四月花形歌舞伎」は4月2日(土)から26日(火)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹、明治座にて販売中です。