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橋之助から芝翫へ、襲名直前「歌舞伎夜話」で明かした本音

橋之助から芝翫へ、襲名直前「歌舞伎夜話」で明かした本音

 

 

 9月26日(月)、歌舞伎座ギャラリー「ギャラリーレクチャー 歌舞伎夜話特別企画 寿成駒夜話」に、中村橋之助、中村国生、中村宗生、中村宜生が登場しました。

  いよいよ襲名披露興行の幕が開きます。その直前の心境を、四人が「寿成駒夜話」と題し、語ってくれました。今回は襲名特別企画ということで、「歌舞伎美人」でもレポートを掲載します。

 

橋之助から芝翫へ、襲名直前「歌舞伎夜話」で明かした本音

 「やっぱり考えると夜は眠れなくなります。あとは皆様に助けていただいて…」と切り出したのは橋之助、八代目芝翫を襲名します。その橋之助の名前を四代目として襲名する国生は、「まずは成駒屋の戦力になれるように」、三代目福之助を襲名する宗生は、「このような若い年で襲名させていただけることが幸せ」、四代目歌之助を襲名する宜生は、「やりたかったお役をやらせていただけることが本当に楽しみ」と続けました。

 

 ゲストが四人の「歌舞伎夜話」は、今回が初めて。賑やかな雰囲気の中で、「僕と福之助は中学まで野球部だったので」(国生)と、まず三兄弟の家での姿が垣間見えます。「小さい頃はよく野球やお芝居ごっこをしていました。自宅には炊飯器が2個あって、僕と宗生で5合食べて…」(国生)、「ラーメンの替え玉を8玉したこともります」(宗生)というなか、兄二人が食べ盛りだった年頃の宜生は、「僕は体を動かす日以外はあまりお腹が減らなくて、今日も母のお弁当を半分しか食べられなくて…」と、兄弟それぞれの個性がうかがわせました。

 

橋之助から芝翫へ、襲名直前「歌舞伎夜話」で明かした本音

 「家族で、兄弟で、芝居を伝えるのは本当に難しい」(橋之助)。「兄にきつく言われると、どうしても素直に受け入れらない時もあります」(宗生)。と言いつつも、弟のことはこの上なく愛おしいという宗生。兄弟の絆が感じられます。

 

 兄弟関係の話では、「僕たちは、歌舞伎座の大間で遊んだり、たくさんやんちゃをしてましたが、宜生はそういう姿を見ないんです」(国生)、「でも、僕も学校では普通に遊んでいますよ、先生には怒られないぐらいのところで…。初めて言いますけど…」(宗生)と、それぞれに普段言わない言葉も飛び出しました。

 

橋之助から芝翫へ、襲名直前「歌舞伎夜話」で明かした本音

 女方についても挑戦したいという兄弟。なかでも国生は『俊寛』の千鳥役が大好きと言うと、「もっと千鳥らしくならないと」と言いながら橋之助は、「父(七世芝翫)の神谷町の芸風を、誰かに継いでもらいたいとも思う。兄や児太郎も、どちらかというと六世歌右衛門の芸ですので。ただ、息子たちが女方というのはを難しいかもしれないですが。でも香りを残してほしいと、僕は思うんですが…」。

 

 親子での共演。橋之助は「僕は父親っこで、父親といろんな話をしたけれど、それは父親が女方、僕が立役だったからよかった。やはり父や兄弟から教えられるより、他人のほうがよいかもしれません」と、自身と七世芝翫のことにも思いを馳せます。

 

橋之助から芝翫へ、襲名直前「歌舞伎夜話」で明かした本音

 そのほかにも、小さな頃のお芝居ごっこの話では、プログラムまでつくって本格的にやっていたこと。橋之助、宗生が出演したG2演出『御宿かわせみ』(平成28年5月)の話題から、新作や古典の創作についての話にも。今回の襲名狂言では、国生たちも大道具や衣裳について相談し、ともにつくり上げたと言います。

 

 「三人の息子の襲名も、僕の襲名も、父が言い残していったことなんです。父は新しい歌舞伎座には立てなかったけれど、こんなに素晴らしい劇場ができるという夢、そこに歌舞伎役者という生を受けたことに感謝することが大事だと言っていました。襲名は、チャンスであり、父がくれたプレゼントであり、試練。成駒屋という老舗を守ること、歌舞伎界のいろんなことを考え、使命を感じています」(橋之助)。

 

 「再来年のお正月には、八代目芝翫襲名の打ち上げができたらいいな」と夢を語った橋之助。大襲名に挑む四人に、あらためて温かい拍手が送られました。 

 歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」は10月2日(土)から26日(水)までの公演で、チケットはチケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹にて販売中。「吉例顔見世大歌舞伎」は11月1日(火)から25日(金)までの公演、チケットは10月12日(水)発売予定です。

 

橋之助から芝翫へ、襲名直前「歌舞伎夜話」で明かした本音

2016/10/01