ニュース
「松竹大歌舞伎 北京公演」で日中国交正常化45周年を祝う
3月18日(土)~20日(月)、中国 北京の天橋芸術中心で、中日国交正常化45周年記念「松竹大歌舞伎 北京公演」が行われ、『鳥居前』『封印切』『藤娘』が上演されました。
▼
3日間の5回公演で、会場は客席数約900席の中劇場。チケットが販売開始から4日で全公演が売り切れたという客席は、20代、30代の若いお客様が大半を占めました。これは、中国の若い方の日本文化への関心の高さの表れではないかと、主催の国際交流基金の関係者はとらえていました。
歌舞伎の代表作を披露
幕開きは、芝翫、孝太郎、門之助、橋之助、福之助ほかの出演で、歌舞伎の荒事の芸を見せる『鳥居前』。次に、鴈治郎、芝翫、門之助、吉弥、壱太郎ほかで、上方和事の代表作の一つ、『封印切』。最後に孝太郎の『藤娘』という、歌舞伎の代表的なジャンルの名作、人気作が、豪華な配役で上演されました。
『鳥居前』では福之助演じる逸見藤太が家来たちを「待て、待て」と、留めるおかしみのある場面がありますが、福之助が「ダン イーシャ」と中国語でせりふを言うと、客席からは歓声が上がりました。また、『封印切』の鴈治郎の忠兵衛と芝翫演じる八右衛門との丁々発止のやりとりでは、客席から笑いも起きました。『藤娘』では暗闇から一転、孝太郎の美しい藤の精が現れると、感嘆のジワが会場に広がりました。
今回は中国の皆様に、よりいっそう歌舞伎を理解していただくため、中国語のイヤホンガイドをお客様全員にご利用いただいたことが大きく功を奏したようです。
中国の若い世代へアピール
主催者側による来場者アンケート(任意)によると、ご回答いただいたお客様のうち、97%が中国国籍で、79%が女性、年齢層は多い順に、20代が54%、30代が29%、40代が8%、10代が3%、60代が3%という結果でした。
また、歌舞伎をご覧になった理由については(複数回答可)、「日本文化に興味があるから」の回答が一番多く83%、続いて順に「伝統芸能に興味があるから」が61%、「舞台芸術に興味があるから」が55%。次に、満足度の項目では、4段階評価中、最も高い「とても満足」が95%、次の「まあまあ満足」は5%で、やや不満、とても不満ともにゼロという、大変な好反応を示すアンケート結果となりました。
「もっと見たくなった!」
その後も、在中国日本国大使館による中国版ツイッター(ウェイボー)のフォロワーから、「昨晩公演を見に行ったが、たいへんよかった! こうした芸術家たちによる素晴らしい公演に触れる機会がもっと欲しい」「素晴らしい公演だった。公演に関するPRと案内もきめ細やかに行われており、実にgood! もっと多くの歌舞伎公演を中国で行ってほしい」「ただちょっと体験してみるくらいの気持ちで行ったが、結果として、実によかった。いずれの幕についても完全版を見に行きたくなった」「予想をはるかに超える盛り上がり。追加公演を望む」と、好評のコメントが多数寄せられました。
さらに、「精巧で美しく、興味が次々に沸いてくる。こうした芸術を体験できることは、まさに人生における大きな幸せだ」「生まれて初めての歌舞伎公演、それも、有名な大物俳優が出演していました。劇場は満席で、観客としてこれ以上の幸せはありません。意外にも、理解するのはそれほど難しくなかった、中国語のイヤホンガイドも非常に役に立った」「歌舞伎役者の表現は力強く、演技には引きつける力がある」「視覚に訴える力が実に強い。物語と表現の方法にも、独特の民族文化がある」と、日本の伝統文化への関心の高さもうかがえました。
日中国交正常化45周年記念行事の嚆矢となった今回の歌舞伎公演は、