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梅玉、愛之助が語る「錦秋名古屋 顔見世」

梅玉、愛之助が語る「錦秋名古屋 顔見世」
 

 

 10月1日(日)からの日本特殊陶業市民会館「錦秋名古屋 顔見世」に出演の中村梅玉、片岡愛之助が、公演に向けて意気込みを語りました。

梅玉、愛之助が語る「錦秋名古屋 顔見世」

梅玉と愛之助の共演で初役に挑戦

 『重の井子別れ』で始まる今年の「錦秋名古屋 顔見世」。昼の部では梅玉が、「本当に好きな作品。新歌舞伎の代表作」の『番町皿屋敷』で、青山播磨を勤めます。

 

 「30年前、いつかは勤めたいと思っていた役です。この作品の特徴はロマン。男のストレートさ、一途さ。相手のお菊が壱太郎くんなので、若さを出すのが大変ですが」とにっこり。平成元(1989)年10月国立劇場で初演し、今回が7度目です。「梅玉お兄さんの播磨が大好き」という愛之助が、播磨と喧嘩になる放駒を初役で勤めます。「大先輩の胸をお借りして、しっかり勤めたい」。

 

 「祖父の十三世仁左衛門、伯父の我當もしている役です。播磨と対立するお役で、僕なんかで勤まるのか、ドキドキしています。頑張りすぎても小物っぽく空回りしてしまいますし」と語る愛之助ですが、なにより楽しみにしているのは「お兄さんの播磨を盗むこと。父の秀太郎から、教わることも大切だけれど、芸は盗むものと言われておりますので」。日頃から何事もきちっと教えてくれる梅玉に感謝しながら、今回はたくさんいろんなものを盗みたいと、同じ舞台に立ちます。

 

梅玉、愛之助が語る「錦秋名古屋 顔見世」

 『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』は一昨年、永楽館で愛之助が初挑戦し、五変化を見せました。「ありがたいことに、源頼光にお兄さんが出てくださる。襲名でもないのにとびっくり、夢かと思いました。後輩を育てようという熱い思いから出てくださるんだなと」、大喜びの愛之助。一方の梅玉も、「一緒に出られるのがうれしいです。一所懸命相手役を勤めたい」と笑顔で応えました。

 

歌舞伎のすべてが見られる

 夜の部の『春重四海波(はるをかさねてしかいなみ)』も昨年、永楽館で上演されました。「今回は名古屋バージョン、すべて書き直し、新しく生まれ変わります。お客様の前で上演するとあちこち改善点がみつかり、次はこうしようという宿題が残ったままだったので、再演がありがたい」と、意欲的に語った愛之助。高砂頼母の若いときから年を重ねるまでを描き出し、「新喜劇が元になっているお芝居で、人情味にあふれ、笑いだけでなくほろっとさせます」。

 

 『新口村』の梅玉は、魁春の梅川に、忠兵衛だけでなく孫右衛門も演じます。「一度やってみたかったので、忠兵衛と孫右衛門を替わってみたいと自分からお願いしました。自分から言ったのですから結果を出さなければいけません。研究します。風情のある雪の新口村で親子の別れ…、とても情緒のある舞台です。その雰囲気にお客様を引きずり込めるように努力したい」と、意欲満々です。

 

 そして最後が、愛之助と壱太郎の『連獅子』。「昼も夜も見ていただくと、歌舞伎のすべてを見たと言っても過言ではないくらい、バランスのいい演目立てです」と、愛之助がアピールしました。

 

来年開場する御園座につながる公演に

 来年4月の御園座新開場を前に、金山の特殊陶業市民会館では最後の「錦秋顔見世」となります。「ずっとこの公演に呼んでいただきたいと思っておりました。それが、5年目にしてかない、しかも最後の金山歌舞伎に参加できてとてもうれしい。有終の美を飾らないと」と、梅玉は気を引き締めました。

 

 梅玉に、「舞台姿に品がある。芸を志す人にとって、品があるということはけっこう大事なことです」と言われ、恐縮しきりの愛之助は、「『勧進帳』のお兄さんの富樫で、太刀持で出させていただいた小さい頃から、大好きで大尊敬する先輩。ご一緒させていただいてありがたい」。息の合った二人が、どんな芝居の空気をつくり出すのか、期待も高まります。「最後の金山、思い出に残るよう、一所懸命勤めさせていただきます」と、梅玉が力強く語りました。

 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール(中ホール)「錦秋名古屋 顔見世」は10月1日(日)から25日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイト御園座ほかで、8月23日(水)より発売予定です。

 

梅玉、愛之助が語る「錦秋名古屋 顔見世」

 左より、長谷川栄胤株式会社御園座副会長、片岡愛之助、中村梅玉、安孫子正松竹株式会社副社長

2017/06/30