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「渋谷・コクーン歌舞伎 第十七弾『夏祭浪花鑑』」開幕に向けて
5月12日(水)に、東京 Bunkamuraシアターコクーンで開幕した「渋谷・コクーン歌舞伎 第十七弾『夏祭浪花鑑』」。初日前日の11日(火)に、出演する中村勘九郎、中村七之助、尾上松也と、演出・美術の串田和美が、開幕に向けての意気込みを語りました。
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緊急事態宣言の休業要請緩和を受け、12日(水)より幕を開けることとなった渋谷・コクーン歌舞伎『夏祭浪花鑑』。串田による初の歌舞伎演出作品であり、海外公演を含め何度も再演を重ねてきた人気の演目です。冒頭、串田が「大好きな芝居の幕を久しぶりに開けることができて、とてもほっとすると同時に、今、喜びがわき上がっています」と思いを吐露すると、勘九郎も、「この祭りの火が消えなかったことは、私たち役者としても次に進むステップの一つになったのではないかと思います」と、上演の喜びをにじませました。
最高に楽しい祭りを
作品の名前にもなっている夏祭りの場面について、「久しぶりにお祭りの音を聞くと、腹の底に眠っている人間の魂の震えみたいなものがあるんです。これを聞くだけで元気になります」と、目を輝かせるのは七之助。串田も、「長い歴史のなかで、(人々は)事故や災害などの苦しみをお祭りで祓おうとした。つらいときこそお祭りのエッセンスをもう一度思い出そうよという思い」で演出した、と同調します。
平成26(2014)年の『三人吉三』以来、2度目のコクーン歌舞伎参加となる松也は、「コクーン歌舞伎の稽古場は気づきの連続。役の“実”を大切にしながら、それをどう表現できるのか追求していきたいです」と、気合十分です。また、公演中止の期間、自身がエンタテインメントに心を救われたと語り、「自分が救われたように、皆様の希望になるようなお芝居にできたら」と続け、勘九郎も、「お客様一人ひとりの心の栄養になるように一致団結して、超楽しいお祭りをお見せしますので期待してください」と、笑顔でアピールしました。
魂と愛の物語
本作について、「義理人情が薄くなってきている時代に、はっと思わせてくれる作品」と勘九郎。七之助は「自分のためではなく人のために動いている人々のお話で、これは愛だなと思っています」、松也も「絆や人との繋がりを改めて感じた」と、それぞれの言葉で表現します。串田は、「どんな人間だって皆一所懸命に生きていて、自分が生きる証をさまざまな形で探している」と語り、主人公の団七九郎兵衛は、人間の内側からわいてくるその欲求に忠実だった、と分析します。
そんな熱い魂の物語『夏祭浪花鑑』が、13年の時を経たシアターコクーンで、今、原点からの出発、新たな道を走りだします。劇場に足をお運びくださるお客様へ、勘九郎が「生きる鼓動を味わっていただけたらうれしく思います」、七之助が「安心安全な公演を行うよう、努めております」、松也が「最後まで皆さんに楽しんでいただけるよう、精一杯尽くしたいと思っております」と、深い感謝を込めて呼びかけました。
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Bunkamuraシアターコクーン「渋谷・コクーン歌舞伎 第十七弾『夏祭浪花鑑』」は、5月30日(日)までの公演です。チケットの詳細は、公演情報でご確認ください。