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玉三郎が語る、南座「坂東玉三郎 特別舞踊公演」

玉三郎が語る、南座「坂東玉三郎 特別舞踊公演」

▲ 撮影:柏原孝史

 7月24日(土)と8月2日(月)から開幕する南座7月・8月「坂東玉三郎 特別舞踊公演」に出演の坂東玉三郎が、公演に向けての思いを語りました。

来てくださるお客様に特別なものを

 これまで数々の舞踊公演を南座で上演してきた玉三郎。京都で2年ぶりとなる今回の特別舞踊公演は、7月と8月、2カ月連続での開催となります。「この舞踊公演は、南座では長い間開催させていただいております」と振り返り、「演技の繊細なところがすぐに伝わる劇場でもあり、非常にお客様との距離感もいい。今回『鶴亀』のそれぞれの冠や衣裳なども京都産なんです。そんなこともあり、特別な場所ですね」と、顔をほころばせます。

 

 7月は、今年3月に歌舞伎座でも上演された地唄舞二題、『雪』と『鐘ヶ岬』で女心を美しく舞います。「『雪』は、燭台を象徴的に用いて舞います。『鐘ヶ岬』では紗幕を使うなど、今年3月の歌舞伎座で上演した際に広めに豪華につくらせていただいたものを」南座でも使用するとのこと。

 

 また、今年1月に大阪松竹座で披露した『口上』で好評を得た打掛も、種類を変えて再び南座で紹介します。「このような時期に来てくださるお客様にお礼を込めて、特別なものをご覧いただきたい」との思いから始めたといいます。「今回は『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の政岡の雪持の竹に雀の打掛など3枚ほど。そして『船辨慶』の前シテで使いました唐織をご覧いただこうと。これは京都で発見したものなので、今回お目にかけようと思っています」と、関西のお客様に楽しんでいただけるような構想を練っている様子がうかがえます。

 

歌舞伎の楽しみ方

 8月の公演では、「新しい雰囲気も大事」だと感じたという玉三郎が、成駒屋の三兄弟、中村橋之助、中村福之助、中村歌之助と、劇団新派で活躍する河合雪之丞と共演します。橋之助とは、昨年3月に上演予定であった「明治座 三月花形歌舞伎」『桜姫東文章』を監修をした際に「指導したことがご縁」で、そこから三人とは「実は長いことお稽古してきました」と明かします。「お客様が目新しい若い息吹というものを発見してくださることが、歌舞伎の一つの楽しみ方だと思っています」。

 

 今回上演される『日本振袖始』は日本神話を題材とした作品です。「『日本振袖始』や『紀州道成寺』など、数々の演目を南座の舞踊公演で上演してきました。南座で多くの演目を新たにつくることができて、そしてこうして再演できることがうれしいです」と、喜びをにじませます。また、「この時期に蜘蛛の精を退治する演目や、『日本振袖始』をお客様が好んで観にいらっしゃるのは、どこか心のなかにある恨み辛みというものを晴らして浄化させたい、と思っていらっしゃるからではないかという気がします」と、作品の魅力を語りました。

 

舞台は生きる喜び

 「最大限の感染対策を行いながら舞台に立つことが、自分のモチベーションを上げることだと思っております。お客様に対しては(感染拡大のなかですので)非常に心配しておりますが、劇場にいらっしゃった限りは、夢の時間を過ごしていただきたいと思います」と、熱い思いを胸に、穏やかな口調で締めくくりました。

 南座7月「坂東玉三郎 特別舞踊公演」は7月24日(土)から28日(水)まで、南座8月「坂東玉三郎 特別舞踊公演」は8月2日(月)から24日(火)までの公演。チケットはどちらもチケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2021/07/19