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コクーン歌舞伎『天日坊』の初日が開幕

 2月1日(火)、東京 Bunkamuraシアターコクーンで「渋谷・コクーン歌舞伎 第十八弾『天日坊』」が開幕しました。

 幕末以来上演が途絶えていた河竹黙阿弥の隠れた名作が、平成24(2012)年にコクーン歌舞伎『天日坊』として、串田和美の演出・美術、宮藤官九郎の脚本で現代によみがえりました。このたび10年の時を経て、天日坊の自分探しの旅が再び始まります。

 

 孤児の法策(中村勘九郎)は、修験者の観音院(片岡亀蔵)の弟子として暮らしていたある日、草津のお三婆(笹野高史)から、源頼朝とお三の娘との間に、死んだ子どもがいたことを聞かされます。奇しくも自身がその子と同じ年、同じ日の生まれだと知った法策はお三を手にかけ、落胤の証拠のお墨付を奪います。おかしみにあふれた冒頭から一転、出世の種に目がくらんだ法策が見せる残忍な殺し場に、観客も思わず息をのみます。

 

 法策は鎌倉へ向かい、下男の久助(中村扇雀)と、平蔵(小松和重)がその行方を追います。猫間中納言の嫡子・光義(市村萬次郎)を鎌倉へ連行する一行と法策が出会ったところへ、盗賊の地雷太郎(中村獅童)と人丸お六(中村七之助)が、光義をさらいに現れます。だんまりのなか、地雷太郎のもつ一差と、法策のもつお墨付が入れ替わる場面はみどころの一つ。それぞれの思惑が絡み合うなか、証拠を失い途方に暮れ「俺は誰だあっ!」と嘆く法策の声と、バンドの音色が劇場中に響き渡ります。

 

 捕らえられ、北條時貞(中村虎之介)、傾城高窓太夫(中村鶴松)と同じ船に乗せられた法策は、今度は高窓太夫の弟になりすまし、金を無心します。しかし素性を見破られ、逃げた先の浜松で地雷太郎、人丸お六と再会。法策の腕にある「天」の字の痣と、所持していた観音像を見たお六により、彼の本当の正体が明らかになります。自らの運命を悟った法策が「天日坊」と名乗りを上げ、見得で決まると、スピードを上げた音楽とともに物語はさらに大きく動き出していきます。

 

 トランペットを中心とした生演奏による迫力満点の音楽や、こだわり抜かれた美術、疾走感あふれる場面転換など、ダイナミックな演出の数々が、登場人物たちの繊細な心理をあぶりだします。物語の最後、法策、地雷太郎、お六による圧巻の大立廻りでは、客席から大きな拍手が送られました。

 現代にも通じるテーマを、個性豊かな俳優陣で描くBunkamuraシアターコクーン「渋谷・コクーン歌舞伎第十八弾『天日坊』」は、2月26日(土)までの公演。チケットの詳細は、公演情報でご確認ください。

2022/02/04