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玉三郎、愛之助が語る、南座7月「坂東玉三郎 特別舞踊公演」、8月「坂東玉三郎 特別公演」

玉三郎、愛之助が語る、南座7月「坂東玉三郎 特別舞踊公演」、8月「坂東玉三郎 特別公演」

 

 2022年7月23日(土)に開幕する南座「坂東玉三郎 特別舞踊公演」、8月2日(火)に開幕する「坂東玉三郎 特別公演」に出演する坂東玉三郎と、8月の公演に出演する片岡愛之助が、それぞれの思いを語りました。

南座の夏の2公演 

 これまで南座で多くの舞踊公演に挑んできた玉三郎は、7月の特別舞踊公演について、「今回は『高尾』と『藤娘』ということで、体力的にも大変」と語りながらも、「これまで『高尾』は、なかなか踊る機会がなかったのですが、『藤娘』と一緒であれば、いいのではないか」と、上演が決まったこと明かし、期待をふくらませます。

 

玉三郎、愛之助が語る、南座7月「坂東玉三郎 特別舞踊公演」、8月「坂東玉三郎 特別公演」

 

 そして、愛之助と共演する8月の特別公演については、「愛之助さんに助けていただいて、『東海道四谷怪談』の浪宅のお岩様にのみ集中できる公演です。以前8月の南座の花形歌舞伎で愛之助さんのお父様の(片岡)秀太郎さん、そして(片岡)仁左衛門さん、(片岡)我當さんとずっとご一緒させていただいてきて、今回世代を超えて愛之助さんとご一緒できるのは、感慨深い」と、愛之助を見守るように話します。

 

 愛之助は、「令和元(2019)年には玉三郎のお兄さんに監修していただき、(中村)七之助さん、(市川)中車さんと、南座新開場記念「九月花形歌舞伎」で、『東海道四谷怪談』を勤めさせていただきました。それから、今回はお相手を勤めるという運びとなり、身の引き締まる思いです。しっかりと勉強したいと思います」と、緊張の面持ちで語ります。

 

お岩を演じて感じる変化

 令和3(2021)年に、歌舞伎座「九月大歌舞伎」で、38年ぶりにお岩を演じた玉三郎。若い頃は、お岩をどう解釈して演じるかが難しく、精神的にとても辛かったと言います。「お岩様が醜くなっていくということは、年をとっていくことに重なると思います。若い頃は自分が自分ではなくなっていくことを演じないといけませんでしたが、年を経て現実を見る切なさというのが、自然と演じなくても出てくる」という、変化を語ります。

 

 さらに、髪梳きの場面は、「鏡に向かう複雑な心境を、南北が具体的に歌舞伎芝居として見せていると思います」と、話す玉三郎。また、薬を毒薬とも知らずに飲んでしまう場面については、先人たちから「薬を飲む前に、丁寧に伊藤家に礼を言うこと。それから一粒も残さず飲むこと」と、教えられたと明かします。「怖がらせるのではなく、そこに取り巻く人間の気持ちが怖いのだと思います」と、写実性の重要さを語りました。

 

玉三郎、愛之助が語る、南座7月「坂東玉三郎 特別舞踊公演」、8月「坂東玉三郎 特別公演」

 

伊右衛門の色悪

 自身が監修した令和元年南座の『東海道四谷怪談』で、色悪を代表する伊右衛門を演じた愛之助を、「とても自然に演じられて、38年前の仁左衛門さんとよく似た雰囲気があった」という玉三郎。関西で『東海道四谷怪談』を演じるならばと、今回白羽の矢が立った愛之助は、伊右衛門について「玉三郎のお兄さんに監修していただいた際に、心理描写やせりふなど、写実に努めることが大切だと教わりました。色悪については、南北ものですし、あまりつくり込まず、せりふをどう感じて、どういう表情で勤めるのか気を付けたい」と話すと、隣で玉三郎がうなずきます。

 

 自然体を大事とする演出について玉三郎は、「毒を与える悪い夫と、与えられた悲しい女の話だったら、あまり面白くない。二人ともそんなことになると思わないで、すれ違っていく。ことさらに誇張すると、怖がらせる芝居になってしまうので、気の暗さという怖さが、怪談なのだと思います」と、みどころを語って締めくくりました。

 7月「坂東玉三郎 特別舞踊公演」は、7月23日(土)から27日(水)まで、8月「坂東玉三郎 特別公演」は、8月2日(火)から28日(日)までの公演。7月公演はチケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中、8月公演は7月9日(木)から発売予定です。

2022/07/05