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初代尾上眞秀の初舞台を発表

初代尾上眞秀の初舞台を発表

 左より、ローラン・グナシア、寺島しのぶ、迫本淳一松竹株式会社代表取締役社長、寺嶋眞秀、フィリップ・セトン駐日フランス大使、尾上菊之助、尾上菊五郎

 

 2023年5月、歌舞伎座の「團菊祭五月大歌舞伎」で、寺嶋眞秀が初代尾上眞秀(おのえまほろ)を名のり、初舞台を勤めることが発表されました。

 寺嶋眞秀は、平成29(2017)年5月に4歳で歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」『魚屋宗五郎』の酒屋丁稚与吉で初お目見得し、以来多くの舞台出演を重ねてきました。フランス人を父にもつ眞秀の初舞台の記者発表が行われたのは、フランス大使公邸。ここで歌舞伎に関連した会見が行われるのは初めてのことです。

 

 詰めかけた取材陣を前に、眞秀は見事なフランス語の挨拶を披露。続けて日本語で、「僕は小さい頃から歌舞伎が好きでした。今年の5月、尾上眞秀として初舞台を踏むことになりました。僕はいつか、僕とパパの母国のフランスで、歌舞伎公演をやってみたいと思います。お客様に楽しんでもらえるように練習に励みますので、5月の舞台にどうぞお越しください」と、素直な気持ちを込めて、まっすぐな瞳で呼びかけました。

 

眞秀という名前で踏み出す

 孫の初舞台について、菊五郎は、「誠にうれしいことでございます」と喜びながら、5月公演の眞秀の初舞台に自分自身も元気な姿で臨みたい、と語ります。菊之助は、「日本では、身内に慶事がありますと、家族全員で応援するという文化がございます。私も叔父として、彼を支え、修業の手助けをできれば、と思っております」と、穏やかな口調で述べました。

 

 眞秀が初舞台を迎えるにあたって、菊五郎もいろいろな名前を考えたそうですが、本人の望みもあり、既に多くの人に親しまれている「眞秀」という名前で出発することになったと言います。これからどのような歌舞伎俳優になりたいかと問われ、間髪入れずに「ひーまみたいな面白い役者さんになりたいです」と、答えた眞秀。「ひーまとは私のことです」と言い添えながら、菊五郎も思わず顔をほころばせました。

 

初代尾上眞秀の初舞台を発表

 

いつかフランスでも公演を

 将来フランスで歌舞伎の古典の作品を伝えることや、俳優への挑戦など、眞秀はしっかりと自分の言葉で、あふれる夢を語ります。また、歌舞伎の好きなところや演じてみたい役について、「弁天小僧」(『弁天娘女男白浪』)や、鬼が出てくる作品や変身…といくつもキーワードを挙げながら、「立廻りが僕にとって一番面白い」と話し、さらに立役と女方については、「どっちもやったことはあるのですが、立役の方が多かったので、女方もやってみたいと思います」と、意欲を見せました。

 

 5月の初舞台の演目について、安土桃山時代の豪傑である岩見重太郎をモデルに、「賑やかな明るい場面や激しい立廻りの場面を考えています」と、作品の構想を明かした菊五郎。「私の通ってきた道でございますが、(立役と女方の)どっちがいいかはやってみないとわからない。今回も初舞台では女方立役、両方をやらせてみたいと思っています」と、大きく広がる可能性に期待を込めている様子です。

 

 菊之助はこれまでの共演を振り返り、「とても舞台を楽しんでいる感じが体からにじみ出ている。修業は厳しいこともたくさんありますが、その心を忘れずにこのまま進んでいってほしいと思います」と、甥へ気持ちのこもった言葉を贈りました。大らかに、その成長を見守る温かな眼差しに包まれて、5月の歌舞伎座で尾上眞秀が新たな門出を迎えます。

 歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」の詳細は、決まり次第、公演情報等でお知らせしていきますので、どうぞご注目ください。

 

初代尾上眞秀の初舞台を発表

 左から、ローラン・グナシア、寺島しのぶ、寺嶋眞秀、尾上菊五郎、尾上菊之助

2023/02/16