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壱太郎、團子が語る御園座、大阪松竹座 スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』
2024年5月6日(月・休)から御園座、6月8日(土)から大阪松竹座で始まるスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』に出演の中村壱太郎、市川團子が、公演への思いを語りました。
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「天翔ける心」を追い求めて
清新なキャストを迎え、今年の2月・3月に新橋演舞場で上演された『ヤマトタケル』。このたび御園座では初上演、大阪松竹座では16年ぶりに上演されます。引き続き大碓命と、小碓命後にヤマトタケルの2役を演じる團子は、「新橋演舞場で演じた2カ月の間に、自分のなかでも台本の解釈に大きな変化がありました。演じれば演じるほど、どんどん発見があるような、本当に深い哲学が込められた作品です。これからもレベルアップできるようにと思いながら、千縄楽を迎えました」と、初めて本役に挑んだ新橋演舞場での公演を振り返ります。
作品のテーマである「天翔ける心」について、「はっきりとこうだとは定まらない、つかめないところがこの言葉の魅力であり、肝の部分なのかと思います。簡単にいえば情熱や、何かを目指していくその心ということかと思いますが、一生かけて解釈していくものだと思っています」と、自身の考えを口にした團子。「祖父の映像を見ると、演技に重みや説得力があり、それだけ“天翔ける心”を体現していたのだと思います。自分もいつかはこのせりふの最後の最後まで、しっかりと言うことができるような役者になりたいです」と、前を見据えます。
御園座、大阪松竹座には今回が初出演。「『ヤマトタケル』はさまざまな地方にゆかりがあります。特に名古屋は、物語の終盤で尾張の国に立ち寄りますので、初めて御園座で出演させていただく作品が縁のある作品で、うれしく思っています。これからどんどん名古屋での思い出が増えるよう努めます」と笑顔を見せ、「大阪松竹座は祖父が最後に演じた劇場ですが、“おもだか”という会報誌で、大阪松竹座の音響の素晴らしさについて書かれていました。今回舞台に立たせていただくのがとても楽しみです」と、語りました。
新たな情熱を胸に、受け継がれてきた情熱を伝える
壱太郎は、今回がスーパー歌舞伎初出演。兄橘姫と弟橘姫の2役を初役で勤めます。「『ヤマトタケル』はずっと思いを馳せていた作品の一つです。今にほとばしる情熱を形にしながらも、過去から繋がれてきた情熱をどう今に伝えるか、という二つの両極が重なる部分に“スーパー歌舞伎”があると思いますし、大きなメッセージ性に心を打たれます」と、出演を喜びます。
『ヤマトタケル』への出演については、「哲学者の梅原猛先生がお書きになった戯曲を、今の時代にどうお伝えできるか意識して勤めたいです」と気を引き締めながら、「弟橘姫を演じるうえで一番難しい場面は走水かと思いますが、思いが極まってしまったときの人間の心理に深く迫っていけたらいいなと思っています。兄橘姫は愛する人を失うところから始まり、失った後に何を求めるか。彼女の心理を深く探っていきたいです」と、自身が演じる二人の姉妹を分析します。
新橋演舞場で同役を勤めた同世代の中村米吉からも話を聞いたという壱太郎。「2役早替りもありますし、チームワークが本当に大切だと感じました。あとは團子くんとしっかりと心を通わせて、情熱をぶつけ合っていきたいです。僕らでまた新たなものをつくりながらも、受け継いできたものも大事に」と、気合十分。「言葉の力というものはすごく強いので、現代語になると、何のフィルターもなくより直接伝わる、という点は意識していきたいと思います」と、現代語で演じるスーパー歌舞伎ならではの留意点も明かしました。
お客様とともに学びを得る
「この『ヤマトタケル』という作品を、もちろん老若男女問わずたくさんの方に観ていただきたいですが、中高大学生の方々にもぜひ観ていただきたいです。これからどうやって、何を思って生きていくのか。まさに現代に通じることを、今何かを学んでいる学生の方々と一緒に、僕らも梅原先生から学んでいきたいと思っています」と、壱太郎が熱いメッセージを送ります。
まさに今大学生の團子も、「この作品は人間の普遍性がすべて詰まっている作品です。親子の葛藤や、自分がどう生きるのか。戦についての考え方や、愛情についても触れられていますし、変に解釈しようとしなくても、自然に自分の人生の似たような出来事が重なるので、身構えずにありのままで観ていただきたいです。それでも絶対に楽しめる作品だと確信しています」と、太鼓判を押しました。
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御園座 スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』は、5月6日(月・休)から19日(日)まで、大阪松竹座 スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』は6月8日(土)から23日(日)までの公演。チケットはそれぞれ、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で、4月4日(木)、4月17日(水)から発売予定です。