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尾上右近が『菊五郎の鏡獅子 4Kデジタル修復版』上映記念トークショーに登場

2025年4月7日(月)新橋演舞場で行われた『菊五郎の鏡獅子 4Kデジタル修復版』上映記念トークショーに、尾上右近が登場しました。
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4月3日(木)に開幕した「四月大歌舞伎」夜の部では、右近が歌舞伎座で初めて『春興鏡獅子』小姓弥生/獅子の精を勤めています。このたび松竹の名作映画と、松竹大谷図書館所蔵の歌舞伎の貴重映像を上映する「思い出の松竹銀幕セレクション in 新橋演舞場」で、小津安二郎監督唯一の記録映画であり、右近の曽祖父にあたる六世尾上菊五郎が出演する『菊五郎の鏡獅子 4K デジタル修復版』が上映され、右近が思いを語りました。

映画上映に続き、トークショーに登壇した右近は「観客の一人として楽しく拝見しました。3歳のときに初めて見て以来、憧れの象徴といえる作品で、手の届かないものと思って見てきました。今、自分が歌舞伎座で勤めるなかで、一つの参考資料として実践的に見ることができたのは初めての感覚で新鮮でした。デジタル修復版ということで、劇場空間の景色やお客さまの雰囲気も、あらためてクリアに見えて。ピントの合い方などで、より細部にわたる表現が伝わってきました。この大スクリーンで見たことで、自分にとっては神とも崇め奉るくらいの存在である六代目菊五郎の、どこか人間らしさを感じました」と、貴重な映像の魅力を語ります。

「母方の(祖父の)鶴田浩二も小津監督にはお世話になっていますので(映画「お茶漬の味」)、とてもご縁を感じます。またこの演舞場は、僕自身、人生のターニングポイントの右近襲名を経験させていただいた愛着のある劇場。今しかないこの時間を楽しんでいただければ」と、呼びかけました。トークの後は、来場者へのプレゼント企画の抽選やフォトセッションも行われ、イベントは大盛況のうちに幕を閉じました。
イベント後の囲み取材では、「歌舞伎座の初日では、映画のなかのナレーションでもありましたが、一挙手一投足、(毛振りの)一振り一振りに思いを込めることに徹しました。今後は『春興鏡獅子』を当り役にすることと、一生やり続けることが目標。ひたすらに向き合う、スタート地点だと思っています」と、真摯に語る右近。
「今回は獅子の鬘を大きくしたり、衣裳や、手獅子も新調しました。自分の動きの一つひとつにこだわり、体力的にとても大変な舞踊ですが、7歳の初舞台のときに毎日舞台に出られることがうれしかったのと同じように、毎日踊ることができる幸せを感じています」と、その充実ぶりがうかがえます。「“三つ子の魂百まで”ということを、まさに体感しており、その気持ちがずっと色褪せないことは、環境、先祖に感謝しています。受け継がれてきたものを受け渡していくことも、勤めの一部だという自覚をもってこれからも進みたいです」と、挑み続ける決意を新たにしました。
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歌舞伎座「四月大歌舞伎」は、4月25日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。また、 新橋演舞場「思い出の松竹銀幕セレクション in 新橋演舞場」は、4月17日(木)までの開催。チケットは、チケットWeb松竹で販売中です。