歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



もっと知りたい!獅童さんのこと


歌舞伎の中に自分にしかできないことがあるはず

中村獅童さんをもっと知りたい!
中村獅童
二代目 中村獅童
(なかむら しどう)

生まれ
昭和47年9月14日、東京都生まれ。

家族
初代中村獅童の長男。祖父は三代目中村時蔵。五代目中村歌六、五代目中村時蔵、三代目中村又五郎、二代目中村錦之助はいとこにあたる。

初舞台
昭和56年6月歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』「御殿」豆腐買おむら娘おひろほかで、二代目中村獅童を名のり初舞台。
家系図
獅童さんを観たい!

 明治座公演では『瞼の母』以外に、『毛抜』の粂寺弾正(くめでらだんじょう)と『権三と助十』の権三も演じられます。まったく傾向の違う3役ですね。
 「歌舞伎を観たことのない人にも興味を持っていただきたいと、若い頃からずっと思っていました。僕の出演する演目以外にも、わかりやすく面白いものが揃いました。『毛抜』は歌舞伎十八番物で見得もありますし、まさに“ザ・カブキ”。舞踊は理屈抜きに楽しんでいただけるし、『権三と助十』のような書き物は、若い人たちでもストーリーや言葉がわかりやすい」

 幅広くご活躍の獅童さんですが、今後、歌舞伎にどう取り組んでいきたいと思われますか。
 「歌舞伎は“自分自身”です。自分が育ってきたところだし、演技はすべて歌舞伎で学びました。立廻りでも基本はすべて歌舞伎の演技法にあります。歌舞伎役者を名のっている以上は、歌舞伎で結果を出していかないといけません。もちろんテレビや映画に出ていなかったら、中村獅童という名も知られていなかったでしょうが、歌舞伎の中に自分にしかできないことがあるはずですし、探さなければいけないと思います」

 では、今後なさってみたいお役は何ですか。
 「『封印切(恋飛脚大和往来)』の忠兵衛と『女殺油地獄』の与兵衛はもう一度やりたいですし、『四の切(義経千本桜)』も、また演じてみたい。与兵衛は仁左衛門のおにいさんが、“あれは型のあるものじゃないからなあ、何も教えることはないよ”とおっしゃりながらも、細かく教えてくださいました」
 「与兵衛なんて殺人鬼にお客様は拍手をしてくださる。与兵衛は家庭の愛情に飢えていて、心の奥底で傷ついている。反抗して追い詰められてああいうことになったかわいそうな人…。そこがお客様に通じた瞬間に拍手をしていただける。そういう奥深い役は演じ甲斐があります」

 これからも、歌舞伎をはじめさまざまなご活躍が拝見できそうですね。
 「お客様に、劇場まで獅童の芝居を見にいってよかったねと、思っていただけるような役者にならないといけません。そして、どんな役でも精一杯勤めるという信念は変えてはいけないと思います」

ようこそ歌舞伎へ

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