歌舞伎いろは

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京都四條南座「吉例顔見世興行」『碁盤太平記』 扇雀さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 中村扇雀

あと3つ、鴈治郎家に生まれた者の使命として

 ――あらためて扇雀さんの「玩辞楼十二曲」への思いをお話しください。

 十二曲で出演したことのない作品は、『恋の湖』と『あかね染』と『大晏寺堤(敵討襤褸錦)』(だいあんじづつみ かたきうちつづれのにしき)の3作だけです。3つとも、初代の舞台を詳細にメモした松若ノートがあります。鴈治郎家に生まれた以上は、十二曲を演じることが使命のような気がしますし、十二曲を通して上方に残った作品をどんどん勤めたいと思います。

 兄の四代目鴈治郎襲名の興行で十二曲をやらせていただける有難さを感じますし、残り3作に向けての一つのステップになるのかなとも思います。近い将来、ぜひこの3作を演じたいですね。

 ――その襲名披露でもある今度の顔見世。南座の顔見世の思い出があればお聞かせください。

 祖父が京都に住んでいる頃は、顔見世の時期が学校の冬休みだったこともあり、東京から遊びに行きました。祖父の家は御所の近くで、よく御所で凧揚げをしました。祖父の家の2階に泊まりましたが、部屋に日本人形がいっぱいあって、それが夜中に全部動きそうな気がして怖かったのを覚えています。

 ――京都とのご縁も深いようでいらっしゃいますね。

 祖母は祇園町の舞妓でしたし、父も兄も京都生まれで私も半分地元のようなものです。街の皆さんもたいへんに温かく接してくださいます。年配の芸妓さんなんて、劇評家のような方も多く、舞台についてはもちろん厳しい面もあります。

 12月の京都は町全体が独特の雰囲気になります。顔見世のために着物をおつくりになる方もいらっしゃるし、五花街の総見もあります。ですから客席も華やかで、顔見世興行を町ぐるみで盛り上げていただいていることを感じます。本来の顔見世の意味は、「来年1年間、この劇場は、この役者でやります」という意味でしょう。ですから、役に対する思い入れは毎月一緒ですが、顔見世で役をやらせていただくと、なにか重たいものを感じますね。

中村扇雀 成駒家!

中村扇雀さんをもっと知りたい!

中村扇雀(なかむら せんじゃく)

生まれ 昭和35年12月19日生まれ。
家族 四代目坂田藤十郎の二男、兄は四代目中村鴈治郎。息子は初代中村虎之介。母は扇千景。
初舞台 昭和42年11月歌舞伎座『紅梅曾我』箱王丸、『心中天網島』倅勘太郎で中村浩太郎を名のり初舞台。
襲名 平成7年1月大阪・中座『本朝廿四孝』八重垣姫、『曽根崎心中』平野屋徳兵衛ほかで三代目中村扇雀を襲名。
この一年の舞台

平成26年

12月 「吉例顔見世興行」(京都四條南座)
『藤十郎の恋』坂田藤十郎/『仮名手本忠臣蔵』大星力弥/『鳥辺山心中』坂田市之助

平成27年

1月 「壽初春大歌舞伎」(大阪松竹座)
『寿曽我対面』曽我十郎祐成/「口上」/『封印切』傾城梅川
2月 「二月大歌舞伎」(大阪松竹座)
『嫗山姥』荻野屋八重桐/「口上」/『曽根崎心中』油屋九平次
4月 「四月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『碁盤太平記』大石内蔵助/『成駒家歌舞伎賑』口上
6月 「六月博多座大歌舞伎」(博多座)
『播州皿屋敷』腰元お菊/『 ぢいさんばあさん』伊織妻るん/「口上」
6月・7月 「松竹大歌舞伎 東コース」(全国公演)
「口上」/『連獅子』狂言師右近後に親獅子の精
8月 「八月納涼歌舞伎」(歌舞伎座)
『ひらかな盛衰記』隼人娘お筆/『祇園恋づくし』大津屋次郎八・女房おつぎ
8月・9月 「松竹大歌舞伎 西コース」(全国公演)
「口上」/『連獅子』狂言師右近後に親獅子の精
10月・11月 「大阪平成中村座」(平成中村座)
『女暫』清水冠者義高 /『狐狸狐狸ばなし』手拭い屋伊之助/『俊寛』丹左衛門尉基康/『盲目物語』お市の方

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