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愛之助が語る、新橋演舞場『GOEMON 石川五右衛門』
10月3日(月)より、新橋演舞場「十月花形歌舞伎」で上演される『GOEMON 石川五右衛門』について、出演の片岡愛之助、作・演出の水口一夫が語りました。
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「システィーナ歌舞伎」で上演されたのが5年前。平成25(2013)年には大阪松竹座で上演されて翌年に再演、そして今回、東京で初上演される『GOEMON 石川五右衛門』。「前回よりパワーアップした『GOEMON』 をお見せしたい」と、愛之助と水口は口をそろえました。
再び出演する今井翼が霧隠才蔵も
カルデロン神父には前回に引き続き、タッキー&翼の今井翼が出演。「再演するときは二役やってほしいと話していたのですが、今回、彼のほうからぜひやらせていただきたいと。カルデロン神父に加え、彼の魅力を活かした配役の霧隠才蔵は、五右衛門とは古い友人ですが敵味方に分かれてしまい…、あとは見てのお楽しみです」と、共演の愛之助が誰よりも楽しみにしている様子を見せました。五右衛門と父、カルデロン神父の夢のシーンでの共演に加え、新たな五右衛門と才蔵の顔合わせに期待がふくらみます。
赤毛の五右衛門がフラメンコを踊る
和と洋のコラボレーションがテーマのシスティーナ歌舞伎で生まれた『GOEMON』。「江戸時代の随筆に、五右衛門の師匠が赤毛とあったことにヒントを得て、つくり上げました。石川五右衛門には実説がないのでいろいろ創造できます。フラメンコは40年ほど前、渋谷のジャンジャンで嵐徳三郎くんと芝居をつくっているときに、できなかったことが実現しました」と水口。フラメンコには土着的な匂いがあり、「音の響きに(義太夫の)太棹と共通したところを感じたので、うまく合わせて芝居ができるのではと思っていた」と言います。
「フラメンコと歌舞伎は対極にあると思っていましたが、実は共通している点が多いんです。フラメンコのオレ!のかけ声は、歌舞伎の大向うのかけ声とタイミングが似ていますし、ポーズも見得に似ているところがあります。“魂の叫び”が発祥で、喜怒哀楽の表現など、歌舞伎に共通しているところがいくつもあります」と、愛之助も続けました。
「フラメンコはまた、頭の位置を動かさずに足拍子を踏むのですが、これは自分たちがやっている基本中の基本の動き、腰を落して歩くことと同じ。そうはいっても、いざ習い始めると、奥が深くて簡単なものではありませんでしたが」。重く分厚い衣裳の内側で足を上げなくてはならず、「ものすごく筋肉を使うので、公演中に腿とふくらはぎが成長するほど」だそうで、中日(なかび)を過ぎると衣裳にも影響するくらい脚が変わると明かしました。
想像する余地を残すことが大切
「この作品は、想像の部分を残しているという意味で未完成。想像は芸術にとても大切だと思っておりまして、特に歌舞伎には、あとはどうなるのだろうなどとお客様が想像する部分が多いんです」。ストーリーはもちろんのこと、見る人の想像をかきたてる設定や登場人物、がっちり屋体を組むのではなく、「抽象的な舞台でどんどん物語を進めるほうが、『GOEMON』のよさが伝わる」といった舞台装置まで、想像の余地を残すことで、歌舞伎を観たことがあるないにかかわらず、誰もが楽しめる作品になっています。
物語の筋や舞台機構などは前回とほとんど変わりませんが、「歌舞伎の骨組みはそのままで、随所をパワーアップさせます。フラメンコも新しい振付になり、踊り、立廻りが増えると思います」。大阪松竹座では客席をいっぱいに使った大立廻りがありましたが、「客席のいろいろなところから俳優が出ますが、どこに出るのか期待して、あちこちの席の切符を買って楽しんでください」と、愛之助の期待感を高めるアピールで会見が終了しました。
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新橋演舞場「十月花形歌舞伎『GOEMON 石川五右衛門』」は、10月3日(月)から27日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹にて販売中です。