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「システィーナ歌舞伎」『TAMETOMO』主な配役発表

「システィーナ歌舞伎」『TAMETOMO』共演者発表

 第八回 システィーナ歌舞伎『GOEMON ロマネスク』より。四方を客席に囲まれたアリーナスタイルの舞台。「どっちを見てもお客様、得した気分になります」

 2月22日(金)・23日(土)・24日(日)、徳島県 大塚国際美術館システィーナ・ホールで上演される新作歌舞伎『新説諸国譚(しんしょこくものがたり) TAMETOMO(ためとも)』について、片岡愛之助が作・演出の水口一夫とともに、あらためて公演に向けての意気込みを語りました。

 和と洋のコラボレーションを掲げる「システィーナ歌舞伎」で、曲亭馬琴の『椿説弓張月』の琉球を舞台とする和の世界に、洋の要素として「アーサー王のエピソードを入れ込んでいこうと思っています。台座から剣を引き抜いて王座につくところや、トリスタンとイゾルデのところなどを」と、水口がこの新作歌舞伎の構想を述べ、今回、新たに参加する共演者の役どころも見えてきました。

 

愛之助は為朝と陶松寿の2役

 「同じ貴種流離譚でも、義経には陰のところがあるけれど、為朝は明るくてパワフル。いつでも前向きに、困難を乗り越えていきます」と、水口がわかりやすく形容した為朝は、「力強い為朝が描ければと思います」と気合を見せる愛之助が勤めます。愛之助のもう一役は、琉球の王女の忠臣、陶松寿。舞羽美海が演じる真鶴と互いに惹かれあうものの、結ばれることのないトリスタンとイゾルデのような話を繰り広げます。どちらも二枚目の武将の役柄ですが、陶松寿は琉球の拵えで新鮮な見た目でも楽しませます。

 

 舞羽は元宝塚歌劇団のトップ娘役ですが、愛之助は、「宝塚らしさを出してほしいなと思います。こちらには歌舞伎という色があり、コラボレーションする楽しみが出てきます。ゲスト出演者には個性を出していただきたい。そのなかでお互いが歩み寄る場面もあっていいと思いますし」。毎年、出演を希望する他ジャンルの俳優は多く、出演者のコラボレーションも、システィーナ歌舞伎の特徴の一つとなっています。

 

『双面』を思わせる道行も

 壱太郎は為朝の妻、白縫姫と、琉球王女の寧王女(ねいわんにょ)。原作では捨て身で夫を守る白縫姫の霊が寧王女に入り込むくだりがあり、「白縫姫と寧王女を(『法界坊』の)『双面(ふたおもて)』みたいに、為朝との道行、所作事のなかでそういうところを出したら面白いんじゃないか」。法界坊と野分姫の霊が合体して現れるように、二人の女性を壱太郎がどのように演じるのか、期待が高まります。

 

 吉弥は琉球王の第一夫人の中婦君(ちゅうふくん)。子ができず、第二夫人に子ができたため嫉妬心から寧王女をいじめます。もう一役、仙女魔琳(まりん)も吉弥。水口は、巫女であり妖女のようでもある『弓張月』の阿公(くまぎみ)が、アーサー王伝説の魔女マーリンに結びついたことで、和と洋のコラボレーションが生まれたとも明かしました。そして、国を滅ぼそうと企む大敵、蒙雲国師(もううんこくし)は猿弥。愛之助の為朝と対抗する人物で、二人の戦いがどのような演出で表現されるのか注目です。

 

「システィーナ歌舞伎」『TAMETOMO』共演者発表

 第三回 システィーナ歌舞伎の『GOEMON 石川五右衛門』では、お客様に名画を見上げていただこうと宙乗りも披露しました。果たして今回はどんな演出が見られることになるのか、乞うご期待!

歌舞伎も美術館も楽しめる

 琉球の伝統的な紅型(びんがた)の衣裳や琉球舞踊で目を楽しませ、琉球音階にハワイアンを入れ込んだ音楽で、耳にも新鮮な驚きをと、現在は、よりよいものへと作品が形づくられているところです。システィーナ・ホールという、この会場ならではの大空間を活かした、演出も毎回のお楽しみです。愛之助はホールの「バルコニーが結構、好きなんですが…」と、そっとアピール、果たしてその希望が演出にとり入れられるのか、これも幕が開いてからのお楽しみになりました。

 

 「いろんな歌舞伎があるということを知ってもらいたいことと、“かぶく”気持ち、魂を忘れずに、新しいことにチャレンジする精神が変わらないこと。お客様から、美術館で歌舞伎が見られるなんて、倍、得をしましたというお声を聞くとうれしくなります。システィーナ礼拝堂を模したシスティーナ・ホールだからこそ成立する芝居、それをつくることができるありがたさを感じています」。昨年末の紅白歌合戦でも、システィーナ・ホールの魅力は大きな話題になりました。

 愛之助さんの新しい代表作の一つとなるように、と水口が意気込む今回の『TAMETOMO』。「皆さんが想像していらっしゃる『弓張月』とだいぶ違い、かなり明るいイメージになると思います。お越しいただけたら、一粒で2度も3度もおいしい舞台です」と、愛之助も笑顔で力強くご来場を呼びかけました。

 

 大塚国際美術館システィーナ・ホール「第九回 システィーナ歌舞伎」は、2月22日(金)・23日(土)・24日(日)の公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹、徳島新聞社事業部で販売中です。

2019/01/28