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愛之助が語る「第十二回 永楽館歌舞伎」

愛之助が語る「第十二回 永楽館歌舞伎」

 11月4日(月・休)から始まる、兵庫県 出石永楽館「第十二回 永楽館歌舞伎」に出演の片岡愛之助が、公演への思いを語りました。

 平成20(2008)年に初めて開催されてから、毎年公演を行い、今年で第十二回を迎える「永楽館歌舞伎」。「毎回この劇場で皆さんが、おかえりと言ってくださるのが非常にうれしいです。始まったのが本当についこの間のように感じるのですが、もう12年も経つのですね。それもひとえに地元の皆々様のおかげです」と、愛之助は感謝を表しました。今年は、愛之助とともに「永楽館歌舞伎」へ12回連続出演となる中村壱太郎と、常連の上村吉弥の出演に加え、「澤村宗之助さんが加わってくださり、さらに華やかになるのではないか」と期待を込めます。

 

愛之助が語る「第十二回 永楽館歌舞伎」

今年もご当地ゆかりの演目を

 上演される演目は、新作歌舞伎『道成寺再鐘供養(どうじょうじごにちのかねくよう) 仙石権兵衛出世噺』と、『滑稽俄安宅新関(おどけにわかあたかのしんせき)』。ご当地ゆかりの演目を上演する「永楽館歌舞伎」ならではの趣向をとり入れ、新作歌舞伎として書き下される『道成寺再鐘供養』は、出石ゆかりの武将、仙石権兵衛の物語です。石川五右衛門を捕まえた人物として有名な仙石権兵衛は、「永楽館歌舞伎で題材にする主人公として、前々から(作・演出の水口一夫との)お話に出てはいたんですけども、今回ようやく回って参りました」。

 

 仙石権兵衛は、実は、新作歌舞伎『GOEMON』にも登場する役柄。「意外と出てきていたんですよ。そういった役を、どのように、どこを膨らませていこうか検討したところ、今回は紀州道成寺の鐘供養を下敷きに膨らませていこうと」決まりました。どのような脚本になるのかはこれから練り上げられていきますが、「お客様に楽しんでいただけるものに、そして、悲しい場面や芝居どころもあり、ドラマとして盛り上がるようにつくっていきたい」と、意気込みました。

 

 今回は「永楽館歌舞伎」で好評の『口上』はありませんが、『滑稽俄安宅新関』は「口上の楽しさを網羅した演目でございます。(口上がない分)お芝居の方をぐっと長く充実したものにさせていただこうと思い、口上をなくし、2本立ての出し物にさせていただきました」と、演目決定の背景を明かします。

 

愛之助が語る「第十二回 永楽館歌舞伎」

実感する芝居の原点

 「色々なところで、永楽館歌舞伎に行ってきましたという声を聞かせていただくので、皆さん、さまざまな地域から永楽館に来てくださっているんだなと実感する」と言う愛之助。「普段の劇場とは違った空間でお芝居を観られること、そして客席数も少ないので、どこで観ていても役者が近いことがいいとおっしゃっていただきます。やはり僕らにとっても特別な場所ですし、お客様にとっても、永楽館というところは特別な場所」。

 

 「先人たちは、こういうところで芝居をやっていた。今は便利になってきたから劇場も大きくなってきましたけれども、 やはり原点はここ(芝居小屋)なのだと感じます。演者も非常に気分が盛り上がりますし、ご覧になった方に聞くと、普段とは違った高揚感があるとおっしゃってくださる。永楽館へ入った瞬間に、昔にタイムスリップしたような感じを覚えて、始まる前からわくわくするそうです。そういう熱気を、僕らも幕間で出ていったら、肌で感じますね」と、永楽館という劇場への特別な思いを語りました。今年第十二回を迎える「永楽館歌舞伎」。愛之助は、「やりたいことは、まだまだたくさんある」と笑顔で締めくくりました。

 「第十二回 永楽館歌舞伎」は、11月4日(月・休)~10日(日)までの公演。チケットは9月16日(月・祝)から永楽館窓口で、9月17日(火)からは、チケットWeb松竹チケットホン松竹ほかで発売予定です。

2019/08/29