ニュース

勘九郎、七之助が語る「明治座 三月花形歌舞伎」

勘九郎、七之助が語る「明治座 三月花形歌舞伎」

 

 3月2日(月)から始まる「明治座 三月花形歌舞伎」に出演する中村勘九郎、中村七之助が、公演への思いと出演演目について語りました。

勘九郎、七之助が語る、「明治座 三月花形歌舞伎」

 

若い力を結集させて届ける花形歌舞伎

 平成29(2017)年5月以来、明治座で3年ぶりの歌舞伎公演となる「明治座 三月花形歌舞伎」。4年ぶりの明治座への出演について、「過去に出演させていただいて、楽しく勤められた記憶がある。今回も皆さんと力を合わせてやりたい」と勘九郎が意欲を見せると、七之助も「4年ぶりに出させていただけて本当にうれしく思います。出演者一同、力を合わせて素晴らしい舞台をつくり上げていきたい」と続けました。

 

 昼の部では『一本刀土俵入』、夜の部では『桜姫東文章』に出演する勘九郎と七之助。「どちらも大切な演目で重要な役」と、真剣な面持ちの勘九郎は、「役、そして先人たちの教え、型というものを、すべて体に叩き込んで、歌舞伎の魅力、その作品がもつパワーを、少しでも届けられたら。そして、自分たちがそうであったように、下の世代、子どもたちの世代にも憧れをもってもらえるように輝き続けたい」と、抱負を述べました。

 

 七之助は、「どちらも若かりし頃に一度勤めているお役。その時からの年月をかけて歌舞伎と向き合ってきた時間のなかで、どういうふうにアプローチが変わってくるのか、今から本当に楽しみ。初演の時は変な力が入っていましたが、今の自分にできる、良い力の抜け方、雰囲気が出たら」と、熱く語りました。

 

優しさを持った茂兵衛の心温まる作品

 『一本刀土俵入』は、「長谷川伸先生がお書きになった、とても心が温まる作品」と勘九郎。茂兵衛について、「優しさ、感謝の気持ちをストレートに持っている人。やくざになっても、力士の頃の優しい気持ちを忘れずに演じたい」と語りました。お蔦を勤める七之助は、「人間味にあふれた役で、人生を捨てておらず、生きていこうというパワーがある。芯はしっかりしているけれども、今の自分の置かれている立場で水のように流れている。そういうところが僕はすごく好きです」。

 

 勘九郎は、茂兵衛の衣裳は十七世中村勘三郎から、お蔦が使用する湯飲みは七世中村芝翫から受け継がれていると説明し、「守られている」と感じると、本音をのぞかせます。「茂兵衛は、祖父も父も大切に勤めていた役で、私にとっても父から教わった大切な役の一つです。私が勤めるのは今回で3回目ですけれども、七之助とよく話し合って、新鮮な気持ちで勤めたい」と、気を引き締めました。

 

勘九郎、七之助が語る、「明治座 三月花形歌舞伎」

 

 鶴屋南北の魅力が凝縮された『桜姫東文章』

 『桜姫東文章』では、勘九郎が清玄と権助を、七之助が白菊丸と桜姫を演じます。「清玄は白菊丸と桜姫に翻弄されて堕落していく役。権助は匂い立つような色気があるお役。この2役をどう演じ分けられるか楽しみ」と勘九郎。七之助も、「きれいななかにも、人間めいたものが垣間見える。そういうお姫様とのギャップがとても楽しい作品なので、そこを強調して見せていきたい」と意気込みます。

 

 「謎の多い作品」と語る勘九郎は、「まだ出尽くしていない、掘り下げる要素、伝える魅力がたくさんあるお芝居。面白く南北の世界観を伝えることができたら」とのこと。七之助はこの作品の魅力を、「前半の因果因縁のところなど、とてもよく描かれている作品。南北のどろっとしたところや時間経過の使い方、人間臭さ、悪役の面白味などが凝縮されている」と話しました。

 

 今回、坂東玉三郎の指導を仰ぎます。「一から教わって、どういうアプローチをするか楽しみ」と語る七之助は、清玄の幽霊と桜姫が会話をしている場面を例にとり、「古典歌舞伎の演出の素晴らしいところは、お客様を納得させる力。今回はこの魔力を勉強したい」と熱を込めました。『桜姫東文章』は、「通し狂言で触れる機会も少ない狂言ですので、先人たちが残してきたものを汚さないように、一所懸命に勤めたい」と心境を語り、公演への期待がふくらむ会見となりました。

 「明治座 三月花形歌舞伎」は3月2日(月)から26日(木)までの公演。チケットは、1月30日(木)から、チケットWeb松竹チケットホン松竹ほか、明治座で発売予定です。

 

勘九郎、七之助が語る、「明治座 三月花形歌舞伎」

 左から、安孫子正松竹株式会社代表取締役副社長、中村七之助、中村勘九郎、三田芳裕株式会社明治座代表取締役社長

2020/01/24