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大阪松竹座「十月花形歌舞伎」初日開幕

 10月5日(火)、大阪松竹座で「十月花形歌舞伎」『GOEMON 石川五右衛門』が初日を迎えました。

 安土桃山時代、天下に名を轟かせた大盗賊・石川五右衛門がフラメンコを踊る、奇想天外かつスタイリッシュな舞台として話題を呼んだ『GOEMON 石川五右衛門』。昨年はコロナ禍により中止となりましたが、愛之助演じる石川五右衛門が7年ぶりに、大阪松竹座に帰ってきました。

 

 時は南蛮から伝わったキリスト教が広く国内に広がった戦国時代後期。十字架が掲げられた神々しい雰囲気のなか、舞台の幕が開きます。キリスト教布教のためイスパニア(スペイン)より渡来した神父カルデロン(今井翼)は、明智光秀の側近で四天王但馬守の娘、石田局(吉弥)との間に、息子・友市をもうけます。しかし、豊臣秀吉(鴈治郎)が切支丹禁止令を発令し、使者の小早川隆景(寿治郎)らがカルデロンを国外追放、石田局を聚楽第へと連行してしまいます。突然家族と引き裂かれた幼い友市の悲痛な叫びに、客席も息をのんで見守ります。

 

 10年の月日が経ち、都では出雲の阿国(壱太郎)の一座が、華やかにややこ踊りを舞っています。阿国を見染めた秀吉は聚楽第へ連れて帰りますが、妻の北政所(歌女之丞)には頭が上がらないため、見つかるまいと阿国を葛籠の中に隠します。

 

 そこへかつての友市で、今では大盗賊として天下に名を馳せる、石川五右衛門(愛之助)が、主君の明智光秀と母の仇を晴らそうと、聚楽第に現れます。迫力満点の立廻りでは、加藤虎之助(種之助)ら、大勢の家臣を華麗な刀さばきで次々に切り払っていきます。カルデロンのほか、五右衛門とかつて修行仲間だった霧隠才蔵の2役演じるのは今井翼。才蔵はその場から五右衛門を逃がし自らも忍術で姿を消すと、今度は宙に浮かぶ葛籠から五右衛門が登場。息もつかせぬ展開に客席からは大きな拍手が沸き上がりました。

 

 その後、京の北野神社で名古屋山三(吉弥)と出会った五右衛門は、阿国を巡って諍いを始めますが、互いの刀から秀吉を仇敵とするもの同士ということを知り…。

 

 後半も歌舞伎ならではの立廻りや、巨大な鷹での宙乗りなど、スペクタクルに富んだ演出とともに、五右衛門、カルデロン、阿国による情熱的なフラメンコは大きなみどころです。今回の公演では後日談として、五右衛門と父・カルデロンが念願の再会を果たした場面まで描かれています。互いの存在を嚙み締めるように強く抱き合い、フラメンコを披露した親子。最後はカーテンコールとなり、客席の興奮も冷めやらぬなか、初日の幕を閉じました。 

 大阪松竹座「十月花形歌舞伎」は27日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2021/10/08