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勘九郎が語る、「平成中村座 小倉城公演」

勘九郎が語る、「平成中村座 小倉城公演」

 

 2023年11月1日(水)から、北九州市 小倉城勝山公園内特設劇場で開催される、「北九州市制60周年 平成中村座 小倉城公演」に出演の中村勘九郎が、公演に向けての思いを語りました。

小倉の街に元気を

 6月下旬に都内で行われた「平成中村座 小倉城公演」製作発表会見に続き、今回は開催地である小倉城・天守閣での記者会見に臨んだ勘九郎。「4年ぶりに小倉に帰ってこられました。コロナがようやく落ち着いた今、また北九州小倉で公演ができることを、本当にうれしく思います」と、喜びを噛み締めます。前回の令和元(2019)年11月に行われた「平成中村座 小倉城公演」は、平成中村座が九州初上陸ということもあり、チケットは即日完売、お練りには約2万人が集まるなど、小倉の街を熱狂させました。「お祭りの(ような賑やかさの)なかで芝居ができ、役者冥利に尽きるひと月でした。それをつくってくれたのも小倉の街。商店街や小倉祇園太鼓の方々をはじめ、地元の皆様が応援してくださったので、一体となって芝居ができました」と、振り返ります。

 

 「今回の演目は地元小倉にゆかりのある演目を取りそろえました。4年前に興奮していただいた方々もさらに興奮して、皆さんに楽しんで帰っていただけるような作品を、私たちも努力してつくっていきたいと思います」と、2回目の開催に向けて意気込みます。「旦過市場の火災やこの間の豪雨もありましたので、皆さんに少しでも元気になってほしいという思いがあります。一緒になってこの一カ月間、街ぐるみで盛り上がっていっていただけたら」。

 

勘九郎が語る、「平成中村座 小倉城公演」

 

 平成中村座公演ならではの演出

 昼の部では、歌舞伎三大名作の一つ『義経千本桜』の二段目、「渡海屋・大物浦」を上演します。「小倉は壇ノ浦のご近所でもありますし、『義経千本桜』の義経一行が兄・頼朝に追われ、西国を目指す最中に起こった出来事のお話で、最後は九州に向かおうとするので、地元の小倉の方たちにも楽しんでいただけるような作品です」と、説明します。「知盛を演じるのは、初めて勤めた博多座での勘九郎襲名以来10年ぶり」という勘九郎。「父(十八世中村勘三郎)が、浮世絵から発掘した衣裳や、中村屋でしかやっていない演出を織り交ぜて上演します。男のロマン、戦国に生きる女性、戦争の無情さなどが心に染みる素敵なストーリーですし、最後知盛が入水する場面はダイナミックな演出になっています」と、みどころを語ります。

 

 舞踊『俄獅子』をベースとした『風流小倉俄廓彩(ふうりゅうこくらにわかのさとのいろどり)』は、「平成中村座小倉城公演バージョンの踊りになっております。出演者総出演でお祭りを彩るのですが、(舞台の)後ろを開けて小倉城を借景にする平成中村座の演出を、この演目でご披露いたします」と、明かします。「鳶頭と芸者がお祭りの雰囲気を踊る、鮮やかで楽しい演目です。『義経千本桜』の重厚な古典の名作を観たあと、お口直しのように、さっぱりとして帰っていただけるような作品になると思います」。

 

勘九郎が語る、「平成中村座 小倉城公演」

 

熱いオファーを受けての再演

 夜の部は、前回大好評を博した『小笠原騒動』を再演。「前回、小倉にご縁がある『小笠原騒動』をやりたいと言ったときは、あまり反応がなかったんです(笑)。でも演出を平成中村座バージョンに変えて、地元の方たちもすごく盛り上がってくださり、熱いオファーがあったので、今回ももってきました」と、笑顔を見せます。「物語のキーパーソンである、岡田良助、小平次、小笠原隼人を中村橋之助、中村福之助、中村歌之助の三兄弟に託し、私と七之助が演じる、悪者の犬神兵部とお大の方でとことんいじめ抜いてやろう、という気持ちで勤めたいですね」と、冗談まじりに話します。「お家騒動は、悪の魅力がないと引き立たないので、“正義”と“悪”の対照的な色が出せたらと思います」と、語ります。

 

 「最後の、花火のような演出もまたある予定ですし、平成中村座から見られる夜のライトアップされた小倉城の景色もぜひ、見ていただきたいですね」と、呼びかけます。今回も小倉祇園太鼓の皆さんとの共演もあるとのことで、「まさに4年前のここ、小倉城天守閣での取材会で小倉祇園太鼓のポスターが貼ってあるのを見つけ、一緒に芝居できないかと連絡したことがきっかけで、共演がかないました。驚いたのが、この『小笠原騒動』で白狐が出てくるのですが、狐に取り憑かれたように太鼓を打つことを“狐憑き”というそうで、狐がこの演目でキーとなる存在だと感じました」と、小倉祇園太鼓との縁についても触れました。

勘九郎が語る、「平成中村座 小倉城公演」

  小倉城天守閣から手を振る勘九郎

 公演以外にもさまざまな楽しみ方がある平成中村座公演。お客様にとっての楽しみでもある長屋が、今回20軒から30軒にパワーアップするとのことで、「職人の芸を生で見て、お買い求めいただけるので、文化と芸能とが入り交じった体験をしていただけるのでは」と、勘九郎はその魅力を語ります。さらに、毎回平成中村座の劇場内に描かれている、十八世勘三郎の目のイラスト“隠れ勘三郎”については、「父の思いがこもっている平成中村座ですので、見守っていてほしいという思いも込めて18カ所に(描かれている)。姫路城公演のときは、姫路城内にもあり、最近難易度が上がっているんですよ(笑)。そうやって街を楽しんでいただけたらいいなと思います」。4年ぶりの平成中村座小倉城公演に、ますます期待が高まります。

 「平成中村座 小倉城公演」は、11月1日(水)から26日(日)までの公演。チケットは9月16日(土)から、博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで販売予定です。

2023/07/31