歌舞伎いろは

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もっと知りたい! 吉右衛門さんのこと


初代の心を受け継いで京都初お目見得

中村吉右衛門さんをもっと知りたい!
中村吉右衛門
二代目 中村吉右衛門
          (なかむら きちえもん)

生まれ
昭和19年5月22日、東京都生まれ。

家族
実父は初代松本白鸚、祖父初代中村吉右衛門の養子となる。兄は九代目松本幸四郎。

初舞台
昭和23年6月東京劇場『御存俎板長兵衛(ごぞんじまないたちょうべえ)』一子長松で、中村萬之助を名のり初舞台。

襲名
昭和41年10月帝国劇場『金閣寺』此下東吉、『積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)』義峯少将宗貞ほかで二代目中村吉右衛門を襲名。

受賞
昭和59年度 日本藝術院賞ほか受賞多数。平成14年 日本藝術院会員、23年重要無形文化財保持者(人間国宝)。
吉右衛門さんを読みたい!

 「秀山祭」は明治、大正、昭和の歌舞伎界を代表する名優の一人であった初代吉右衛門の俳号(俳句を詠む際の名)の「秀山」を冠し、初代の得意とした演目を上演、芸と精神を受け継ごうという公演です。初代の養子の当代吉右衛門さんを中心に、東京の歌舞伎座で平成18年9月に始まりました。東京を出ての公演は今回が初めてです。
 「初代と京都のご縁は深いんですよ。戦後は初代の率いた“吉右衛門劇団”が、毎年のように南座の顔見世興行に出演しておりました。その初代のゆかりも深い南座で、中村又五郎、歌昇の襲名をさせていただけることは、これまた播磨屋一門にとって大変ありがたいことでございます」

 昼が『熊谷陣屋』の熊谷直実、夜が『俊寛』と、初代が得意とした大作に主演されますね。
 「『俊寛』は俊寛が遠ざかる船に向かって“おーい、おーい”と呼びかけるところまで来ると、心身ともに限界に来て頭の中が真っ白になります。昼の『熊谷』も僧になったところで、やり尽くして体力の限界に達する。両方とも何度勤めても大変な役です」

 お勤めになるのは、さぞ大変なこととお察ししますが。
 「初代以来の播磨屋の芸風は、精神をその役に込めていたしますから、どうしてもそうなります。『俊寛』の、祝言のときに舞を舞ってよろけ、みんなの顔を見て“ははは”と笑い、最後に泣き笑いになるところ、そこでも体力を使います。熊谷もずっと堪えています。でも“堪えていますよ”とお客様に見えるようではいけない。本当に涙が出そうなのを堪える。ですから腹に力を入れないとダメなんです」

源平の物語にひたる京の3月

 『熊谷陣屋』、『俊寛』、そして又五郎さんの襲名演目である『船弁慶』も、源平の合戦にゆかりのある作品です。
 「そうです、ちょうどNHKの大河ドラマで『平清盛』を放送中ですが、ゆかりの演目が並びました。歌舞伎には源平の世界を取り上げた作品が多いですね。平家の公達、平敦盛を討った熊谷が、実は自分の息子を身替りにして助けていた、というのが『熊谷陣屋』。俊寛は平清盛に流され、『船弁慶』では、平清盛の息子で壇ノ浦の合戦で戦死した平知盛の霊が、兄の源頼朝に疎まれて都から逃げ出した義経に襲いかかります」
 「大河ドラマで源平の世界に関心をもたれた方がいらしたら、ぜひ3月の南座に足を運んでいただくと、より面白くご覧いただけると思います」

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