歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



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新 猿之助のヤマトタケルの新しさ

 どんなヤマトタケルになさりたいとお思いですか。
 「(三代目市川)猿之助の生き様=ヤマトタケルです。僕の生き様は伯父とは違うので、そこは重なりません。伯父のヤマトタケルは絶対に超えられない。でも、少しでも近づきたい。今回の上演では、伯父のヤマトタケルを見たことのない人をファンにしたい」
 「“團菊じじい”(九世市川團十郎と五世菊五郎を崇拝する観客をこう称した)がいたように、“先代はよかった”という“猿之助じじい”もいるに違いないので、三代目猿之助さんを知らず、スーパー歌舞伎を知らない人たちを虜にしたいと思います」


 では、具体的にはどんな上演になるのでしょう。
 「再演を重ねて練り上げられてきた作品ですが、僕が一番記憶にあるのは初演です。今回の上演ではできるだけ初演に戻したい。と申しましても、再演を重ねて初演より短くなった部分もあれば、逆に延びているところもある。初演に戻して短縮できるところは戻しますし、初演どおりにすると時間が延びてしまうところは、そうはいたしません」

二代目市川猿翁 四代目市川猿之助 九代目市川中車襲名披露 五代目市川團子初舞台 初代市川猿翁 三代目市川段四郎 五十回忌追善 新橋演舞場 六月大歌舞伎

平成24年6月5日(火)~
29日(金)
公演情報

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夜の部
スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』

小碓命後にヤマトタケル
/大碓命
亀治郎改め 猿之助
中車
タケヒコ 右近
ワカタケル 初舞台 團子
兄橘姫/みやず姫 笑也
弟橘姫 春猿
老大臣 寿猿
ヘタルベ 弘太郎
帝の使者 月乃助
倭姫 笑三郎
熊襲弟タケル/ヤイラム 猿弥
尾張の国造 竹三郎
皇后/姥神 門之助
熊襲兄タケル/山神 彌十郎

「天翔ける心」に思うところ

 『ヤマトタケル』ではタケルの一生を象徴する「天翔ける心」というせりふが印象に残ります。
 「僕は薬師寺の故・高田好胤管主に可愛がっていただいていました。あるとき、僕が“天翔ける心が素晴らしい”と言ったら、“あんたなあ、天翔ける心も必要やけどな、ちゃんと地に足をしっかりつけや”とおっしゃられた。そうだな、やはり真理を突かれるんだな、天翔けてばかりいたらいけない、と思いました」
 「三代目猿之助という人は、しっかりと地に足をつけてから天翔けた。僕はまだそういう時期ではない。演劇の『ヤマトタケル』のテーマとしては、天翔けますが、役者としてはまだまだ地に足をつけて勉強する時期です」


 「天翔ける心」のほかに好きなせりふはありますか?
 「初演では最後にタケルは“ヤイレポ、ヤイラム、クマソタケル、もうすぐそっちへ行くぞ、そっちで又会おう、又戦おう”と言って飛んでいきました。死してもなお戦おうと言う。それが好きです。もちろん戦争が好きなのではありません。何かを求め、それが天翔ける心なんだけれど、天国に向け、また戦おうと言って飛んで行く。理想に向かって突き進んでいくんです。僕の場合は何だろう。常に自由にやろうということでしょうか」

ようこそ歌舞伎へ

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