歌舞伎いろは

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もっと知りたい! 猿之助さんのこと


襲名することが歌舞伎界の活性化になれば

市川猿之助さんをもっと知りたい!
市川猿之助
市川亀治郎改め
四代目 市川猿之助
(いちかわ えんのすけ)

生まれ
11月26日、東京都生まれ。

家族
四代目市川段四郎の長男。伯父に三代目市川猿之助改め二代目市川猿翁。九代目市川中車はいとこにあたる。

初舞台
昭和55年7月歌舞伎座『義経千本桜』安徳帝で初お目見得。58年7月歌舞伎座『御目見得太功記』禿(かむろ)たよりで二代目市川亀治郎を名のり初舞台。

襲名
平成24年6月新橋演舞場『義経千本桜』「川連法眼館の場」佐藤忠信/忠信実は源九郎狐、スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』小碓命後にヤマトタケル/大碓命ほかで、四代目市川猿之助を襲名。

受賞
平成14年松尾芸能賞新人賞、18年浅草芸能大賞奨励賞および朝日舞台芸術賞寺山修司賞、21年芸術選奨文部科学大臣新人賞ほか受賞多数。
新猿之助さんを読みたい!

 襲名にどんな思いをおもちですか?
 「亀治郎という名前と別れる寂しさが6、名前を継ぐ喜びが3、よくわからないのが1。まだ実感が沸きません。テレビなどは、だいぶ前に収録しているので、“いつからクレジットを猿之助にしますか”と聞かれます。そういうことが、“よくわからない”の部分です」
 「襲名では、猿之助の精神を引き継ぐことを目指します。先代を超えるというより、名前に厚みを加えられればと思っています。芸は超えるものではなく、厚みを増すものではないでしょうか。少しでも猿之助という名の栄養になり、名前が成長し、大きくなっていく助けになればと考えています」


 亀治郎から猿之助へ、名前以外に何が変わるのでしょうか。
 「僕がこれまでやって来たことを認めていただいて、名前を譲られることになったと思っていますから、これからも、今までと同じにやっていければと思います」

 襲名とはどんなものとお考えですか?
 「開けたいけれど、開けたくないような箱みたいなものでしょうか。歌舞伎にとっては大事なことですし、大人になるための、より進化するための通過儀礼でしょうか」

 歌舞伎界のために襲名すると会見ではおっしゃっていましたが。
 「活性化になればと思います。海外公演でも歌舞伎に対する信頼を感じました。何百年にもわたって築いてきた伝統に対する安心感。だから、僕らが軽率なことをやって損なってはいけない。そのことが大事だと思います」

 襲名、初役…、これらはプレッシャーにはならないのでしょうか。
 「この演目に関して重圧は一切ありません。ずっと演じたかったので、いよいよできるんだという喜びのほうが大きい。あまりに見過ぎているので初役という気もしません。また、今回は初演で熊襲兄タケルをなさった坂東彌十郎さんが、同じ役で出てくださるので心強いですね」

 では、「スーパー歌舞伎」とはどんなものですか。ほかに上演したい演目はおありですか?
 「『オグリ』と『カグヤ』を上演したい。スーパー歌舞伎は、ディズニーランドのような、夢の国のような芝居です。古典歌舞伎の現代語訳だと思って見に来てください」

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