歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



もっともっと楽しんでいただくために


父のすごさを目の当たりにして

 『新八犬伝』の初演は「上方歌舞伎塾」の一、二期卒塾生が多く出演された<平成若衆歌舞伎>の初公演でしたね。
 「<平成若衆歌舞伎>を旗揚げしたときの第一作で、思い入れの強い作品です。当時は上方の歌舞伎俳優が少なく、関西在住の若手俳優も、僕以外にほとんどいない状態でした。そんなときに、当時の松竹の永山武臣会長が<上方歌舞伎塾>という歌舞伎俳優の養成所をつくってくださいました。一期生が入ったのが平成9(1997)年です」

 東京には国立劇場の歌舞伎俳優研修制度がありますが、関西にはありませんでした。民間企業が一般公募で歌舞伎俳優養成に乗り出したのは初めてのことでした。
 「講師として彼らを教えていたのが父の秀太郎であり、坂東竹三郎さんであり、亡くなられた市川青虎さんでした。父たちが塾生に手取り足取り教えているのを盗み見て、僕も共に学びました。だから彼らは僕にとって同期、仲間のようなものです」
 「すごいなと思ったのは父が教える際に、全役を演じてみせたことです。『菅原伝授手習鑑』の『車引』なら藤原時平公から梅王丸、松王丸、桜丸。女方の父が立役を含めて全部を演じられる。同じ『菅原』の『佐太村(賀の祝)』でも桜丸、白太夫、八重、梅王丸、松王丸、春、千代と立役から女方までを演じてみせてくれました」

大阪松竹座 二月花形歌舞伎

平成25年2月2日(土)~
26日(火)
公演情報

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『GOEMON』平成23年11月システィーナホール
(C)松竹株式会社

昼の部
『新八犬伝』

片岡愛之助四役早替り宙乗り相勤め申し候

崇徳院/扇谷定正/網干左母次郎/犬飼現八 愛之助
犬塚信乃 松 也
伏姫 梅 枝
足利成氏/犬田小文吾 萬太郎
犬川荘介 巳之助
犬坂毛野 壱太郎
犬村角太郎 種之助
犬江親兵衛 吉太朗
濱路 梅 丸
犬山道節 薪 車
仙女 吉 弥
亀篠 秀太郎
夜の部
『GOEMON』

片岡愛之助宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候


石川五右衛門 愛之助
カルデロン神父 松 也
石田局 梅 枝
出雲の阿国 壱太郎
加藤虎之助 種之助
石田三成/お菊 梅 丸
友市 吉太朗
名古屋山三/北政所 吉 弥
豊臣秀吉 翫 雀
フラメンコ 佐藤浩希

平成若衆が大阪に帰ってきた!

 先輩方の芸を、塾生へ教える姿から学ばれていたのですね。
 「はい。そんなときに、僕を主体に若い人たちだけでお芝居をしてください、というお話がありました。父に相談しましたら、“自分たちが教えた塾生の発表の場は勉強会しかないので、彼らも芝居に出演させたら”とアドバイスをもらいました。それなら、なにか団体名をつくったほうがいいと<平成若衆歌舞伎>と名付けたんです」
 「旗揚げの平成14(2002)年が、江戸時代に少年たちにより演じられた“若衆歌舞伎”が禁止されてから、ちょうど350年だったので、その名を取りました」

 <平成若衆歌舞伎>は何作演じられたのでしょうか。
 「ほかに『新・油地獄 大坂純情伝』(2003年)、『義経と知盛』(2004年)、『花競かぶき絵巻』(2005年)をシアター・ドラマシティで上演いたしました」

 今回は待望の再演ですね。
 「ずっとやりたいなと思っていたところに、製作側から『新八犬伝』を再演したらどうかとお話をいただきました。前回と同じ役を演じるのは、僕の4役と父の亀篠だけです。平成生まれの若い方もたくさん出演してくれますし、今までがっつり組んでお芝居することのなかった方たちともご一緒できます。僕自身も勉強になるのではと思います。なにより、ホームグラウンドの大阪でこうやって芝居をさせてもらえるのがうれしいです」

ようこそ歌舞伎へ

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