歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



もっと知りたい!松緑さんのこと


書き物を演じるおもしろさ

尾上松緑さんをもっと知りたい!
尾上松緑
四代目 尾上松緑
(おのえ しょうろく)

生まれ
昭和50年2月5日、東京都生まれ。

家族
初代尾上辰之助(三代目松緑)の長男。息子は藤間大河。

初舞台
昭和55年1月国立劇場『戻橋背御摂』「山姥」怪童丸後に坂田金時で藤間嵐の名で初お目見得。同56年2月歌舞伎座『極附幡随長兵衛』一子長松で二代目尾上左近を名のり初舞台。

襲名
平成3年5月歌舞伎座『壽曽我対面』曽我五郎時致、『勧進帳』源義経ほかで二代目尾上辰之助を襲名。同14年5・6月歌舞伎座『義経千本桜』佐藤四郎兵衛忠信/佐藤忠信実は源九郎狐、『勧進帳』武蔵坊弁慶、『蘭平物狂(らんぺいものぐるい)』奴蘭平実は伴義雄、『船弁慶』静御前/新中納言平知盛の霊ほかで四代目尾上松緑を襲名。

受賞
平成10年眞山青果賞新人賞ほか、受賞多数。

 長谷川伸物は初めてでいらっしゃいますね。
 「物語としてもおもしろいものが多いですし、チャンスがあれば演じていきたい。書き物(新作歌舞伎)を演じるのが好きなんです。幸い、随分やらせていただいていまして、『恩讐の彼方に』(平成23年3月新橋演舞場)、『泥棒と若殿』(同19年5月歌舞伎座ほか)『江戸の夕映』(同18年5月歌舞伎座)、…」

 新作を演じる魅力はどこにありますか。
 「古典で勉強し、自分が得たスキルを工夫して出せるところでしょうか。『江戸の夕映』の堂前大吉は父をモデルに役をつくりましたが、でき上がったのは父とはまったく違う大吉でした。新作は答えが一つではない。『泥棒と若殿』は坂東三津五郎のにいさんと一からつくり、小説から起こして台本にしましたが、読むのと動くのとでは違う。削ったり補足したりしました。信さん(松平成信=三津五郎)との別れでは、毎回涙がこみ上げました」

 役や作品をつくり上げていくことが、とても楽しいご様子ですね。
 「『恩讐の彼方に』では、前半は尾上菊之助さんとのやりとり、後半は市川染五郎さんとのやりとりで、一つの芝居で二人の相手役をできるのが楽しかったですね。洞門を掘り続ける僧了海を演じてから、老け役への抵抗感もなくなり、その後の『忠臣蔵』の高師直(同24年4月新橋演舞場)へもつながったと思います」

 そして今度は丑松。今年は年明けから、長男の大河さんも子役でご活躍です。
 「舞台は好きですね。芝居では学校よりも一人前扱いしてもらえるのがうれしいみたいです。今のうちは、うまい下手よりも行儀よくやって、お芝居はこういうものなのだと慣れてくれればと思っています」

 大河さんはどんなお役がお好きなのでしょう。
 「きれいな役が好きみたいで、『義経千本桜』の平知盛のときに、“何でパパはきれいなのに、わざわざ汚くなるんだ”と言うんです。僕なんかは小さいころ、知盛というと最後の血まみれ姿に憧れましたが、白装束のきれいな知盛が好きだったようです。『弁天小僧(白浪五人男)』のときは、僕の南郷ではなく、菊之助さんの弁天小僧ばかり見ていましたよ」

ようこそ歌舞伎へ

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