歌舞伎いろは

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もっと知りたい!三津五郎さんのこと


新しい歌舞伎座でやってみたいこと そして、やりたかったこと

坂東三津五郎さんをもっと知りたい!
坂東三津五郎
十代目 坂東三津五郎
(ばんどう みつごろう)

生まれ
昭和31年1月23日、東京都生まれ。

家族
九代目坂東三津五郎の長男。祖父は八代目坂東三津五郎、長男は二代目坂東巳之助。

初舞台
昭和32年3月明治座『傀儡師(かいらいし)』唐子(からこ)で初お目見得。同37年9月歌舞伎座『黎明鞍馬山(れいめいくらまやま)』遮那王牛若丸、『鳥羽絵』鼠で五代目坂東八十助を襲名し初舞台。

襲名
平成13年1・2月歌舞伎座『喜撰』喜撰法師、『曽我綉侠御所染』甲屋与五郎、『壽曽我対面』曽我五郎時致、『団子売』杵造、『奴道成寺』白拍子花子実は狂言師左近、『神明恵和合取組』め組浜松町辰五郎、『越後獅子』角兵衛ほかで、十代目坂東三津五郎を襲名。

受賞
昭和62年度芸術選奨新人賞、名古屋演劇ペンクラブ年間賞。平成4年松尾芸能賞優秀賞、都民文化栄誉賞。同9年眞山青果賞大賞。同18年日本藝術院賞。同19年第15回橋田賞。同21年松尾芸能賞大賞、紫綬褒章。同24年毎日芸術賞ほか受賞、受章多数。

三津五郎さんを読みたい!

 『喜撰』の中で、三津五郎さんが特にお好きなところはどこになりますか。
 「まず曲がいい。長唄と清元の掛け合いの楽しさ。お梶の持ち場の〈賎が伏屋〉もいいですね。清元のいい曲で、踊ってみたいなと思いますね。機会はなかなかないでしょうが、心をそそられますね。女方の踊りで、いくつか踊ってみたいと思うものがありますが、お梶はその筆頭です」

 ぜひ拝見したいですね。ところで、歌舞伎座が新開場し、三津五郎さんも踊りと芝居でご出演されましたが、実際にどんな印象をお持ちですか。
 「楽屋はまったく変わりました。お風呂もいっぱいできたし、エレベーターが3つもつきましたから、新しい場所にいるんだなという気がします。でも、舞台に回ると前とまったく同じ。壊して新しくつくったのに、この違和感のなさはなんだろうと、なんだか不思議な感じです。壁の色も同じだし、金具やカーテンの色まで一緒ですものね」

 そして、『喜撰』の6月公演の後は、8月に久々の「納涼歌舞伎」です。三津五郎さんは『髪結新三』の新三と『棒しばり』の次郎冠者をなさいます。納涼歌舞伎は三津五郎さんと(十八世)勘三郎さんが中心になって始められた興行ですね。
 「この3年、納涼歌舞伎がなかったので、新しい歌舞伎座で勘三郎さんと共演する機会がないまま終わっちゃったのが残念です。4月の『お祭り』には、彼の孫の七緒八が全日出演しました。振りも少しずつ覚えていってね。“バッタリ”をやったり、最後のほうではぐるっと回ったり。あの小さな体に勘三郎さんが入っちゃったんじゃないかと思いました」

 お客様もいろんな思いでご覧になっていたことと思います。
 「彼に孫が自分の足で歩いて出てくる姿を見せてやりたかった…。花道から近づいてくる姿を見ながら、これは彼が味あわなければいけない幸せだったと思いましたね。心も新たに、納涼のメンバーで、また新しい物をつくっていきたいです」

ようこそ歌舞伎へ

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