歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



もっと知りたい!扇雀さんのこと


これからの納涼歌舞伎は“私たちが頑張ります”

中村扇雀さんをもっと知りたい!
中村扇雀
三代目 中村扇雀
(なかむら せんじゃく)

生まれ
昭和35年12月19日、東京都生まれ。

家族
四代目坂田藤十郎の二男、兄は五代目中村翫雀。息子は初代中村虎之介。母は扇千景。

初舞台
昭和42年11月歌舞伎座『紅梅曾我』箱王丸、『心中天網島』倅勘太郎で中村浩太郎を名のり初舞台。

襲名
平成7年1月大阪・中座『本朝廿四孝』八重垣姫、『曽根崎心中』平野屋徳兵衛ほかで三代目中村扇雀を襲名。

菊之助さんが観たい!

 この8月は「納涼歌舞伎」が4年ぶりに歌舞伎座に戻ってきます。
 「柿葺落の最初の年に、勘三郎のおにいさんが中心になって続けてこられた『納涼歌舞伎』と銘打った三部制興行をしましょうと、会社(松竹)が言ってくださったときは、嬉しかったです。上演されるのは勘三郎おにいさんが得意にされた演目ばかりです。『野崎村』のお光も、『鏡獅子』も『髪結新三』も『狐狸狐狸ばなし』の伊之助も、『棒しばり』もそうです」
 「4月の歌舞伎座での『お祭り』は<十八世中村勘三郎に捧ぐ>とありましたが、8月は、“私たちが後を頑張ります”という意味の公演と考えています」


 勘三郎さんの女房役も『め組の喧嘩』(平成24年5月平成中村座)の辰五郎とお仲まで、随分多くお勤めになられました。
 「この20年以上は勘三郎のおにいさんとご一緒することが多かった。おにいさんは、プロデューサーであり、先輩であり、ディレクターでもありました。すべての責任を負い、一人でなさってこられました。私も横にいて、おにいさんの傘の下で、自分なりに勉強も努力もしてまいりましたが、やっぱり守られていました。決して無責任にやっていたわけではないのですが、寄り掛かっていた面もありました」

 これからは、扇雀さんもいっそう責任が重くなるお立場です。
 「おにいさんが亡くなられ、すぐは何にも考えられませんでしたが、私も52歳です。おにいさんが負われていた責任を、受継がなければいけないという自覚が出てまいりました」
 「もちろん私には、父の上方歌舞伎を引き継いでいく最重要課題がありますが、おにいさんがいらっしゃらなくなったという現実を受け止め、なさってきたことをみんなと協力しながら、やっていきたい。“変わってきたな”と皆さんに思っていただけるような自分にならないといけないと思います。おにいさんが持っていたのと同じ感覚を持って公演に臨みたいです」


ようこそ歌舞伎へ

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