歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



もっと知りたい!梅玉さんのこと


リズムを変えずに流れの中にはまっていく”

中村梅玉さんをもっと知りたい!
中村梅玉
四代目 中村梅玉
(なかむら ばいぎょく)

生まれ
昭和21年8月2日、神奈川県生まれ。

家族
六代目中村歌右衛門の長男。弟は二代目中村魁春。

初舞台
昭和31年1月歌舞伎座『吾背子恋の合槌 蜘蛛の拍子舞』小坊主福才で加賀屋福之助を名のり初舞台。

襲名
昭和42年4・5月歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』「吉野川」久我之助清船、『絵本太功記』武智十次郎光義、『仮名手本忠臣蔵』「山科閑居」大星力弥、『助六曲輪菊』三浦屋白玉で八代目中村福助を襲名。平成4年4月歌舞伎座『祇園祭礼信仰記 金閣寺』此下東吉後に筑前之守久吉、『伊勢音頭恋寝刃』福岡貢で四代目中村梅玉を襲名。

受賞
平成元年度日本藝術院賞。同2年眞山青果賞大賞。同19年紫綬褒章ほか、受賞・受章多数。
梅玉さんを観たい!

 歌舞伎座が新開場しました。出演されてのご感想をお教えください。
 「無事に新開場となってよかったというのが第一です。思っていた以上の盛り上がりで、舞台に立つ者にとってはこんなにありがたいことはありません。舞台から見た客席は元の歌舞伎座とほとんど同じです」
 「前の歌舞伎座では花道の七三に立つと、3階席のお客様からは見えないと言われていました。ですが4月の『勧進帳』で義経を勤めた際に“逢坂の山隠す”の長唄で七三から見上げたら、3階のお客様が見えました。それが今度の歌舞伎座のポイントです」


 そのことが、舞台に立たれる俳優さんにも影響があったのでしょうか。
 「歌舞伎では七三でお芝居をすることが多いのですが、前の歌舞伎座は、お客様から見えやすいように、我々も七三よりちょっと舞台寄りで、本来なら七三でする芝居をしていました。今度は本当の七三の位置で芝居ができるのがいいですね。あと、楽屋も素晴らしいです。廊下が広いし、楽屋で働く者にはありがたい。落ち着いた畳敷で使いやすいです」

 たくさんの後輩の方に演技を指導されているお立場ですが、その際には、どういう点を大切にされますか。
 「まず性根です。よほど動きのある役、たとえば『絵本太功記 十段目』の十次郎などは、動いて見せてお教えしますが、僕のレパートリーは動かないでじっとしている役が多い。歌舞伎は一幕の中に流れのようなものがある。全体をイメージして、そこに自分の役がどうはまっていくかを考えることが大切です。自分が出ることで、それまでの雰囲気が変わってしまってはいけない。歌舞伎はリズムが大事です。そこは気をつけて申し上げます」

 では、これからなさりたい役をお聞かせください。
 「たくさんあります。新開場後の歌舞伎座では、まだ新歌舞伎が出ていません。岡本綺堂さん、眞山青果さんの作品をやりたい。『番町皿屋敷』の青山播磨をあまり年取らないうちにもう一度勤めたい。綺堂物は歌舞伎座が似合うと思います。『鳥辺山心中』もいいですね」

ようこそ歌舞伎へ

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