歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



もっともっと楽しんでいただくために


襲名披露公演で積み重ねてきたものを

 顔見世の襲名披露興行では、『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』の富森助右衛門も初役でなさいますね。
 「仁左衛門さんの胸を借りるつもりが、残念ながら休演となられ、今は梅玉さんと読み合わせなどをさせていただくなかで稽古を続けています」

 襲名公演で、演じられたお役についての思い出などをお聞かせください。
 「『将軍江戸を去る』(平成24年7月新橋演舞場)は、市川團十郎さんに、お稽古を見ていただいたことへの感謝の気持ちしかないです。山岡鉄太郎という男が一人で、徳川慶喜の御座所に、首を刎ねられてもおかしくないことを言いに行く。毎回、命を賭けていないといけない。成田屋さん(團十郎)相手に、その役をやらせていただいたことは僕の宝です」

 『楼門五三桐』は3回、ご出演されています。
 「五右衛門(平成25年1月大阪松竹座、同6月博多座)は、申し訳ないですけれど、お金をいただきながら勉強させていただきました。まったくできないということがわかるまでに時間がかかり、できないことがわかってから、どうしたらいいかがわかるまでにまた時間がかかった。抜け道がないまま、ずっとやって本当に苦しい演目でした。こんな立場で山門の上に座らせていただき、汗顔の至りでした。太刀打ちできない歌舞伎の難しさを痛感しました」
 「『五三桐』を久吉を含めて、今年3回やらせていただいたことの成果が『御浜御殿』で出ればと考えております。同じ眞山青果物でも『江戸を去る』とは違ったせりふ回しをしなければならない。歌舞伎特有の決まった音をどれだけパワフルに出せるかです」


数式を国語で解く難しさ

京都四條南座 當る午歳 吉例顔見世興行

平成25年11月30日(土)~12月26日(木)
公演情報

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平成25年3月御園座
(C)二階堂健
『ぢいさんばあさん』
昼の部 第三

美濃部伊織 中 車
下嶋甚右衛門 右 近
宮重久弥 月乃助
妻きく 春 猿
用人喜平 寿 猿
戸谷主税 薪 車
宮重久右衛門 猿 弥
伊織妻るん 扇 雀

 歌舞伎俳優として舞台に立たれて、歌舞伎に対するお考えに変化はありましたか。
 「歌舞伎では肉体がエンジンだということがわかりました。エンジンが搭載されていないとサーキットは走れない。僕はミニクーパーでF1のレース場を走っていたようなものだと思います。エンジンがないのだからしようがない」
 「歌舞伎俳優の皆さんは、小さい頃から義太夫をお稽古されたりして、発声、間、呼吸、そして序破急を学ばれる。僕はまだ身についておりませんが、歌舞伎の初舞台から1年半を過ごして来たなかで、僕なりに少しは排気量が上がっていなければならず、その意味では今度の『御浜御殿』は勝負だと思っています」


 これまでに数多くの作品に出られている映像のお仕事とは、どんな違いを感じられましたでしょうか。
 「例えるなら、映像は国語の文章を言葉で解き、国語の問題として国語の先生に見せ、国語の点数が帰ってくる。歌舞伎は数式を国語で解き、採点する先生がまた数学に戻る、そんな感じでしょうか。数式が間違っていたら駄目です。数式は習わないとできない。皆さんは数Ⅲレベルで微分積分をやっている。僕はまだ鶴亀算です。いや、鶴亀算にもなっていないかもしれない。大幹部さん、父、四代目(猿之助)が微分積分だとこうなる、というのを僕の小学生以下のレベルまで下りて教えてくださることに感謝したいです」

ようこそ歌舞伎へ

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