歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



歌舞伎座 「壽初春大歌舞伎」  『仮名手本忠臣蔵』「九段目」 藤十郎さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 坂田藤十郎

早かった新しい歌舞伎座での一年

 ──藤十郎さんは日本俳優協会会長という、歌舞伎界を率いるお立場でいらっしゃいます。2013年の歌舞伎座の「?葺落興行」では俳優としても会長としてもお忙しかったことと存じます。どんな思いで舞台に立たれたかをお教えください。

 一番印象に残るのが、歌舞伎座の新開場の最初の舞台に出演したことです。4月興行の第一部で序幕の『壽祝歌舞伎華彩(ことぶきいわうかぶきのいろどり) 鶴寿千歳』で鶴を勤めました。最初に舞台にセリで上がってきたときの身の引き締まる思い、「さあ、何か生まれ変わって頑張らせていただこう」という気持ちは、今でも覚えております。

 鶴の踊りがありましたでしょ。天皇皇后両陛下のご来臨の栄を賜り、『鶴寿千歳』をご覧いただき、後日「鶴を拝見しました」とお言葉をいただきました。とてもうれしかったです。

 ──俳優さんに年齢のことを申し上げるのはいけないかもしれませんが、12月31日に82歳になられます。いつまでもお若いですね。

 皆さん、そうおっしゃってくださるのですが、自分で意識しているわけではないんですよ。無理に若くしようと思ってもおりません。歌舞伎座が自然と私にそういう気を起こさせてくれるのかもしれません。新しい歌舞伎座での一年は早かったですね。

 でも、「九段目」のような芝居は、伝統ある劇場で上演しているような落ち着きがないといけません。戸無瀬は、なさっている女方も少ないし、何度もさせていただけるようなお役ではありません。それを幸運にも、また勤めることができます。

 ──たくさんのお役をお勤めになられている藤十郎さんにとっても、戸無瀬は特別なお役ということがよくわかりました。

 今回は大顔合わせの舞台にもなりますので、楽しみです。朝、目が覚めると「九段目」はどうだったかなと戸無瀬のことを思います。それぐらいの役なんですよ。今回は小浪が二男の扇雀です。前にも何度かやっておりますが、実の親子で義理の親子を勤めるわけです。それもまた面白いですね。

坂田藤十郎 山城屋!

坂田藤十郎さんをもっと知りたい!

四代目 坂田藤十郎(さかた とうじゅうろう)

生まれ 昭和6年12月31日、京都府生まれ。
家族 二代目中村鴈治郎の長男。息子は中村翫雀、中村扇雀。中村壱太郎、中村虎之介は孫に当たる。
初舞台 昭和16年10月大阪・角座『嫗山姥』金時、『寺子屋』小太郎で、二代目中村扇雀を襲名し、初舞台。
襲名 平成2年11月歌舞伎座『廓文章』藤屋伊左衛門、『鏡獅子』小姓弥生後に獅子の精、『心中天網島』紙屋治兵衛ほかで三代目中村鴈治郎を襲名。同17年12月南座『夕霧名残の正月』藤屋伊左衛門、『曽根崎心中』天満屋お初、『本朝廿四孝』八重垣姫ほかで四代目坂田藤十郎を襲名。
受賞 昭和28年毎日演劇賞、同55年度芸術選奨文部大臣賞、同60年度日本藝術院賞、平成2年紫綬褒章、同6年重要無形文化財保持者各個認定(人間国宝)、日本藝術院会員、同8年読売演劇大賞最優秀男優賞。同15年文化功労者、同19年NHK放送文化賞、朝日舞台芸術賞。同20年高松宮記念世界文化賞、同21年文化勲章ほか受賞、受章多数。

平成25年

  • 1月 「壽 初春大歌舞伎」(大阪松竹座) 『義経千本桜』「吉野山」静御前/『操り三番叟』翁
  • 3月 「三月大歌舞伎」(御園座) 『義経千本桜』「川連法眼館の場」源義経
  • 4月 「柿葺落四月大歌舞伎」(歌舞伎座) 『壽祝歌舞伎華彩』鶴
  • 5月 「柿葺落五月大歌舞伎」(歌舞伎座) 『伽羅先代萩』「御殿」乳人政岡
  • 6月 「六月博多座大歌舞伎」(博多座) 『義経千本桜』「川連法眼館の場」源義経
  • 10月 「芸術祭十月大歌舞伎」(歌舞伎座) 『義経千本桜』「道行初音旅」静御前
  • 11月 通し狂言「伊賀越道中双六」(国立劇場) 『伊賀越道中双六』呉服屋十兵衛
  • 12月 「當る午歳 吉例顔見世興行」(京都四條南座) 『義経千本桜』「川連法眼館の場」源義経/「襲名披露口上」/『道行雪故郷』傾城梅川

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