歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



京都四條南座 「三月花形歌舞伎」  『素襖落』 松緑さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 尾上松緑

春らしい公演でお客様をほんわかさせたい

 ――今回の公演では太郎冠者のほか、鳶頭金五郎、熊井太郎、弁慶と、傾向の異なる4役を続けて演じられますね。

 『御摂勧進帳』では「暫」の熊井太郎は経験がありますが(平成24年2月新橋演舞場)、弁慶は初役です。鳶頭金五郎も初役。役柄はみな違いますが、4役に共通するのは、すべてお客様をほんわかさせるような役どころであること。

 最近は『加賀見山再岩藤』の岩藤や『東海道四谷怪談』の直助権兵衛(ともに平成25年7月歌舞伎座)、『暗闇の丑松』の丑松(平成25年3月新橋演舞場)など、どちらかといえば、ダークな役が続いていました。こうして明るくお客様にリラックスしていただける狂言立ては、とても春らしくていいのではと思います。

 ――京都で楽しみになさっていることはおありですか。

 京都に限らずお酒ですが、花街で飲むお酒はまた格別です。南座は祇園にあるので、楽屋から見る風景にも風情があります。街並みもきれいですし、ちょっと出れば、八坂神社があります。今回のように菊之助さんと僕や若い人たちを中心に公演をさせてもらえるのは本当にありがたいことです。

 季節もいいですから僕たちだけでなく、京都で観光をと思っていらっしゃる方にも、ぜひ劇場にお越しいただきたい。後半になればきっと桜も咲くはずですし。

 ――昨年は柿葺落興行もあり、今年も正月から舞台続きでお忙しいですね。

 父や菊五郎にいさん、高麗屋(幸四郎)、播磨屋(吉右衛門)のおじが、僕らの年にはもっと忙しかったでしょう。文句は言っていられません。フル稼働できる間はするのが使命だと思います。

 ――そして、2月の歌舞伎座でご共演だったご長男の藤間大河さんも、子役としてご活躍です。

 芝居が好きなようなので、余計なことを考えずに成長してくれればと思いますね。どんな職業でもそうですが、嫌なことや辛いことは出てきます。彼が楽しいと思ってやっているなら、それがベストではないでしょうか。僕と違い、白く塗る二枚目系の役が好きみたいですから、3月公演ならきっと『与話情浮名横櫛』の与三郎。分をわきまえていません。

尾上松緑 音羽屋!

尾上松緑さんをもっと知りたい!

四代目 尾上松緑(おのえ しょうろく)

生まれ 昭和50年2月5日、東京都生まれ。
家族 初代尾上辰之助(三代目松緑)の長男。息子は藤間大河。
初舞台 昭和55年1月国立劇場『戻橋背御摂』「山姥」怪童丸後に坂田金時で藤間嵐の名で初お目見得。同56年2月歌舞伎座『極附幡随長兵衛』一子長松で二代目尾上左近を名のり初舞台。
襲名 平成3年5月歌舞伎座『壽曽我対面』曽我五郎時致、『勧進帳』源義経ほかで二代目尾上辰之助を襲名。同14年5・6月歌舞伎座『義経千本桜』佐藤四郎兵衛忠信/佐藤忠信実は源九郎狐、『勧進帳』武蔵坊弁慶、『蘭平物狂(らんぺいものぐるい)』奴蘭平実は伴義雄、『船弁慶』静御前/新中納言平知盛の霊ほかで四代目尾上松緑を襲名。

平成25年

  • 3月 「三月花形歌舞伎」(新橋演舞場) 『妹背山婦女庭訓』「三笠山御殿」漁師鱶七実は金輪五郎今国/『暗闇の丑松』暗闇の丑松/『一條大蔵譚』「檜垣 奥殿」吉岡鬼次郎
  • 4月 「柿葺落四月大歌舞伎」(歌舞伎座) 『忍夜恋曲者』大宅太郎光圀/『勧進帳』片岡八郎
  • 6月 「柿葺落六月大歌舞伎」(歌舞伎座) 『土蜘』番卒次郎
  • 7月 「七月花形歌舞伎」(歌舞伎座) 通し狂言『加賀見山再岩藤』岩藤の霊 鳥井又助/通し狂言『東海道四谷怪談』直助権兵衛
  • 9月 「九月花形歌舞伎」(歌舞伎座) 通し狂言『新薄雪物語』幸崎伊賀守/『陰陽師』俵藤太藤原秀郷
  • 10月 「芸術祭十月大歌舞伎」(歌舞伎座) 『義経千本桜』「鳥居前」佐藤忠信実は源九郎狐
  • 11月 「吉例顔見世大歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』」(歌舞伎座) 『仮名手本忠臣蔵』斧定九郎
  • 12月 「當る午歳 吉例顔見世興行」(京都四條南座) 『義経千本桜』「川連法眼館の場」亀井六郎/『児雷也』山賊夜叉五郎

平成26年

  • 1月 通し狂言「三千両初春駒曳」(国立劇場) 『三千両初春駒曳』柴田勝重/材木仲買田郎助
  • 2月 「二月花形歌舞伎」(歌舞伎座) 通し狂言『心謎解色糸』本庄綱五郎/通し狂言『青砥稿花紅彩画』南郷力丸

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