歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



歌舞伎座 「八月納涼歌舞伎」  『信州川中島合戦』「輝虎配膳」橋之助さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 中村橋之助

先輩方に教えられて成長する子どもたち

 ――輝虎はぴんと張った髭が印象的です。

 スチールを撮影したときよりも、もっと激しいカイゼル髭にするつもりです。髭には気を遣います。特に初役は、汗をかくものですし。

 最近は『俊寛』も何度か勤めて慣れ、ようやく汗をかかないでできるようになりましたが、初役のときは汗で取れてしまうのではないかと心配でした。髭は糊付けするのですが、カーペットを床に貼るのに使うような、強力な両面テープを用いたことがありました。でも1カ月間の興行ですと、皮膚がかぶれてしまい、化粧もできなくなってしまうんです。

 ――今回は周囲も初役の方がほとんどですね。

 唐衣を勤める甥の(中村)児太郎は、7月の大阪松竹座で、唐衣の経験をお持ちの(片岡)秀太郎のおにいさんや(坂東)竹三郎さんと同座したときに、いろいろお話をうかがったようです。唐衣のような武家女房は、児太郎が生涯を通じて勤める役柄でしょう。変な癖がついてはいけないですから、先輩方に教えていただく機会があるのはありがたいことです。

 ――長男の国生さんも高校を卒業され、歌舞伎の舞台へのご出演も増えました。6月が国立劇場、7月が大阪松竹座、8月は歌舞伎座のこの「納涼歌舞伎」で『勢獅子』の鳶の者に出演されます。

 昔の子どもは、近所のおじさんに怒られたり、おばさんに褒められたりして大きくなりました。ありがたいことに歌舞伎界には、今もそういう雰囲気が残っています。おじさんたち、おにいさんたちが本当によく面倒をみてくださいます。

 子どもというのは、親の言うことは素直に聞けないものです。僕は父(芝翫)と女方と立役でしたからよかったのですが、女方同士、立役同士となると、ぶつかる頻度が高いですからね。子どもたちも、よほど困ったときは僕に聞きにきますが、僕もあまり口やかましく言わないようにしています。その分、先輩方が教えてくださいます。お陰様で国生も歌舞伎が大好きなんですよ。

 ――「納涼歌舞伎」も新しい歌舞伎座ができて2度目になります。

 昨年の「納涼歌舞伎」の後に入院された(坂東)三津五郎のおにいさんが元気になられて出演されるのがうれしいです。兄(福助)が今年は出られませんが、これまで突っ走ってきたので、今年はゆっくり休んで、来年には戻って来てくれたらいいなと思っております。

中村橋之助 成駒屋!

中村橋之助さんをもっと知りたい!

三代目 中村橋之助(なかむら はしのすけ)

生まれ 昭和40年8月31日生まれ。
家族 七代目中村芝翫の二男。兄は九代目中村福助。息子は初代中村国生、初代中村宗生、初代中村宜生。
初舞台 昭和45年5月国立劇場『柳影澤螢火(やなぎかげさわのほたるび)』吉松君で中村幸二の名で初舞台。
襲名 昭和55年4月歌舞伎座『沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)』裸武者石川銀八、『女暫』手塚太郎光盛ほかで三代目中村橋之助を襲名。
受賞 平成7年松尾芸能賞新人賞、23年日本藝術院賞ほか受賞多数。

平成25年

8月 八月納涼歌舞伎」(歌舞伎座)
『梅雨小袖昔八丈 髪結新三』弥太五郎源七/『色彩間苅豆 かさね』与右衛門/『狐狸狐狸ばなし』重善
9月 九月大歌舞伎」(新橋演舞場)
『元禄忠臣蔵』「御浜御殿綱豊卿」徳川綱豊卿/『男女道成寺』白拍子桜子実は狂言師左近/『沖津浪闇不知火 不知火検校』生首の次郎後に手引の幸吉/『馬盗人』百姓六兵衛
10月 錦秋名古屋 顔見世」(日本特殊陶業市民会館)
『鳴神』鳴神上人/『与話情浮名横櫛』与三郎/『於染久松色読販 お染の七役』鬼門の喜兵衛
11月 平成25年11月歌舞伎公演」(国立劇場)
『伊賀越道中双六』唐木政右衛門

平成26年

1月 壽初春大歌舞伎」(歌舞伎座)
『梶原平三誉石切』大庭三郎景親/『鴛鴦襖恋睦 おしどり』股野五郎/『乗合船惠方萬歳』大工
2月 二月博多座大歌舞伎」(博多座)
『御摂勧進帳』武蔵坊弁慶/『恋飛脚大和往来』「封印切」丹波屋八右衛門/『奴道成寺』白拍子花子実は狂言師左近
3月 鳳凰祭三月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『壽曽我対面』曽我五郎/『盲長屋梅加賀鳶』春木町巳之助
4月 鳳凰祭四月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『壽春鳳凰祭』大臣/『曽根崎心中』油屋九平次/『梅雨小袖昔八丈 髪結新三』白子屋手代忠七
6月 平成26年6月歌舞伎鑑賞教室」(国立劇場)
『ぢいさんばさん』美濃部伊織
7月 七月大歌舞伎」(大阪松竹座)
『天保遊?録』勝小吉/『菅原伝授手習鑑』「寺子屋」武部源蔵/『身替座禅』太郎冠者

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