歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



歌舞伎座 「英也雅幾月大歌舞伎」  『法界坊』『絵本太功記』橋之助さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 中村吉右衛門

何よりも続けていくことが大切

 ――新開場後の歌舞伎座では初めての「秀山祭」になります。明治、大正、昭和の歌舞伎界に大きな足跡を残した名優、初代吉右衛門の芝居に対する姿勢と演出を讃え、ゆかりの芸の研鑽と伝承をはかるのが会のご趣旨とうかがっています。

 「秀山祭」が始まったのは、平成18(2006)年9月の歌舞伎座です。年数としては今年で9年目、来年で10周年になります。これから回を重ね、たとえ私がいなくても続けられる「秀山祭」にしたいと思っております。

 「秀山祭」は私がお山の大将になる興行ではございません。初代吉右衛門の功績、芸を思い出し、再確認していただくことが目的です。初めてご覧になるお客様にも、これだけすごい俳優がいたんだというのを知っていただく興行ですから、誰が頭に立つというのではないんです。今のところ私がまとめ役ですが、続けていくことが一番だと思っております。

 ――そうした吉右衛門さんの思いも、皆さんに浸透してきたのではないでしょうか。

 「秀山祭」を通して何より伝えたいのは、伝統歌舞伎というものの“型”、“演出”です。先人がつくり上げてきたものを、若い人たちが、ただ真似するのではなくて体に叩き込むことが大切です。その蓄積があって初めて、新しい歌舞伎をつくっていく力も持てます。どっち付かずの、どんなジャンルの方でもできるものになってしまっては、歌舞伎ではないと私は思います。

 先人のつくり上げてきた型、考え方、舞台に対する気構え、役づくりの方法を学び、昔の方にも勝るとも劣らない役者としてのものをつくり上げれば、私の役目は済むのですが、それが一番難しいですね。

 ――今年の「秀山祭」は、仁左衛門さんが出演されますし、昼の部の序幕の「菊畑」、夜の部の切の『御所五郎蔵』では染五郎さん、松緑さんという花形世代も活躍されます。

 そうですね。松嶋屋さん(仁左衛門)が、夜の部でお孫さん(千之助)と『連獅子』を踊られますし、昼の部の『法界坊』では甚三に出てくださいます。『法界坊』では松嶋屋さんと私が顔を合わせて立廻りをする。その面白さをお客様に伝えられたらと思います。私と松嶋屋さんは同い年。稽古も楽しみです。

中村吉右衛門 播磨屋!

中村吉右衛門さんをもっと知りたい!

二代目 中村吉右衛門(なかむら きちえもん)

生まれ 昭和19年5月22日、東京都生まれ。
家族 実父は初代松本白鸚、祖父初代中村吉右衛門の養子となる。兄は九代目松本幸四郎。
初舞台 昭和23年6月東京劇場『御存俎板長兵衛(ごぞんじまないたちょうべえ)』一子長松で、中村萬之助を名のり初舞台。
襲名 昭和41年10月帝国劇場『金閣寺』此下東吉、『積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)』義峯少将宗貞ほかで二代目中村吉右衛門を襲名。
受賞 昭和59年度 日本藝術院賞ほか受賞多数。平成14年 日本藝術院会員、23年重要無形文化財保持者(人間国宝)。

平成25年

10月 芸術祭十月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『義経千本桜』「渡海屋 大物浦」渡海屋銀平実は新中納言知盛
11月 吉例顔見世大歌舞伎」(歌舞伎座)
『仮名手本忠臣蔵』「四段目」「七段目」「十一段目」大星由良之助
12月 平成25年12月歌舞伎公演」(国立劇場)
『弥作の鎌腹』百姓弥作/『忠臣蔵形容画合』大星由良之助

平成26年

1月 壽初春大歌舞伎」(歌舞伎座)
『松浦の太鼓』松浦鎮信/『仮名手本忠臣蔵』「九段目」大星由良之助
3月 鳳凰祭三月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『身替座禅』奥方玉の井/『勧進帳』武蔵坊弁慶
4月 鳳凰祭四月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『一條大蔵譚』一條大蔵長成
6月 六月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『名月八幡祭』縮屋新助
6-7月 「松竹大歌舞伎」東コース
『双蝶々曲輪日記』「角力場」濡髪長五郎/「口上」

ようこそ歌舞伎へ

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