歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



歌舞伎座 「十月大歌舞伎」  『伊勢音頭恋寝刃』勘九郎さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 中村勘九郎

祖父の思い出と父が大切にしていたこと

 ――二十七回忌の追善になるお祖父様の思い出をお教えください。

 先日、長男の七緒八が『親子燈籠』(村上元三作、昭和62年6月歌舞伎座)のビデオを見ていました。当時、僕は5歳で祖父と親子の役(仙吉)を演じていたのですが、七緒八と一緒に見ていたら、出演していたときの感覚が、舞台で食べたお団子の味に至るまですべてよみがえってきました。僕はおじいちゃん子で、よく叱られたようですが、それでも祖父のことが好きでした。

 『盛綱陣屋』で、祖父の盛綱で小三郎を勤めたときだと思いますが(昭和61年1月歌舞伎座、初御目見得)、叱られて怖くて押入れに隠れた記憶もあります。

 ――では、お父様はどんな俳優でいらっしゃいましたか。

 父は演技の “間”を大切にしておりました。祖父は目の使い方がうまく、父も真似をしておりました。父の人生すべてが芝居につながっていたんだなと改めて思います。

 ――お父様の教えで印象に残ることをお教えください。

 たとえば今回の貢なら、「あまり神経質にならないほうがいいよ」と言われると思います。貢は、受けの役なので、神経質になりがちです。「歌舞伎なんだから、もうちょっとオブラートに包んで」と助言されただろうと思います。ですから、そこに気を付けながら勤めたいと思います。

 父は歌舞伎の場合は、「役が6割の役者4割ぐらいで演じたほうがいい」と言っていました。「勘太郎が出てきましたというように、ぱっとやったほうがいいんだよ」とよく注意されました。僕はどちらかというと、役のことを考え、その役になりきろうとするタイプの役者です。そうではない部分を出したほうがいいということですね。

 それを念頭に演じるようになったのは、襲名披露をした後だったと思います。前の貢のときは初演で余裕もなく、役になろうとしておりました。今回は僕が演じる貢になればと思います。

 ――これからお勤めになりたいと思う役はおありですか。

 演じる前は、自分に合わないと思った役でも、勤めてみて世界が開けることもあります。たとえば『御所五郎蔵(曽我綉?御所染 そがもようたてしのごしょぞめ)」(平成24年3月平成中村座)の五郎蔵は、自分ではだめだと思っていたのですが、父が「大丈夫だ」と言ってくれました。そういうこともございますので、やりたい役というより、役との出会いを大切にしていきたいです。

中村勘九郎 中村屋!

中村勘九郎さんをもっと知りたい!

六代目 中村勘九郎(なかむら かんくろう)

生まれ 昭和56年10月31日、東京都生まれ。
家族 父は十八代目中村勘三郎、弟は二代目中村七之助。息子は波野七緒八、波野哲之。
初舞台 昭和61年1月歌舞伎座『盛綱陣屋』小三郎で初お目見得。62年1月歌舞伎座『門出二人桃太郎』兄の桃太郎で二代目中村勘太郎を名のり初舞台。
襲名 平成24年2月新橋演舞場新古演劇十種の内『土蜘(つちぐも)』僧智籌(そうちちゅう)実は土蜘の精、新歌舞伎十八番の内『春興鏡獅子』小姓弥生後に獅子の精ほかで、六代目中村勘九郎を襲名。
受賞 平成23年度松尾芸能賞新人賞、同25年第20回読売演劇大賞最優秀男優賞ほか受賞多数。

平成25年

10月 錦秋特別公演 芯2013」(全国9都市)
『団子売』杵造・お臼(配役入替)/コラボレーション『芯』
11月 新橋演舞場11月公演」(新橋演舞場)
『さらば八月の大地』張凌風

平成26年

1・2月 真田十勇士』(青山劇場、梅田芸術劇場)
『真田十勇士』猿飛佐助
3月 鳳凰祭三月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『加賀鳶』魁勇次/『日本振袖始』素盞嗚尊
5月 中村勘九郎・中村七之助 新緑特別公演」(全国5都市)
『都風流』/『紀州道成寺』住僧
6月 渋谷・コクーン歌舞伎第十四弾「三人吉三」(Bunkamuraシアターコクーン)
『三人吉三』和尚吉三
7月 信州・まつもと大歌舞伎」(まつもと市民芸術館)
『三人吉三』和尚吉三
  平成中村座ニューヨーク公演」(リンカーンセンター)
『怪談乳房榎』菱川重信・下男正助・うわばみ三次
8月 八月納涼歌舞伎」(歌舞伎座)
『恐怖時代』茶道珍斎/『たぬき』太鼓持蝶作/『勢獅子』鳶頭/『怪談乳房榎』菱川重信・下男正助・うわばみ三次・三遊亭円朝
9月 錦秋特別公演 10周年記念」(全国14都市)
『都風流』/『紀州道成寺』住僧

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