歌舞伎いろは

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歌舞伎座「三月大歌舞伎」『菅原伝授手習鑑』菊之助さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 尾上菊之助

菊之助を襲名して20年目

 ――三大名作に数えられる人気作品の『菅原伝授手習鑑』。今回は久々の通し上演になります。『菅原』の魅力、また通し上演から見えてくるものをお教えください。

 「道明寺」と「賀の祝」、「寺子屋」では親子の別れが描かれ、見方によっては「筆法伝授」では主従の別れ、「車引」では兄弟の別れというように、全編に別れが描かれています。通してみると、三大義太夫狂言の重みと面白さをより感じられると思います。

 ――桜丸は五世菊五郎、六世菊五郎、お祖父様の(尾上)梅幸さん、お父様の当代菊五郎さんと、代々が得意とされてきた役です。格別の思いもおありなのではないしょうか。

 先人が今までにどんな工夫をしてお客様に楽しんでいただいてきたかを知るのは大切なことです。すべてそのままできないにしても、先人のお知恵を借りているということを忘れず舞台に立たせていただいております。

 ――桜丸や敦盛など、梅幸さんの当り役を次々と演じられています。今年は梅幸さんの没後20年です。どんな思いをお持ちでしょうか。

 こうやって私が舞台に立てるのも、祖父や父のお蔭です。祖父が亡くなってから20年というのは本当に感慨深いですし、私が菊之助を襲名してからも20年目になります。もっと恩返しをして、力のある役者になりたいです。

 ――『菅原』ではこれまでに女方では千代、戸浪、また源蔵は桜丸を初演された平成中村座公演(平成23年12月)でお勤めになられました。ほかに演じられたいお役はおありですか。

 源蔵もまた機会があればさせていただきたいですし、松王丸も演じてみたいです。

尾上菊之助 音羽屋!

尾上菊之助さんをもっと知りたい!

尾上菊之助(おのえ きくのすけ)

生まれ 昭和52年8月1日、東京都生まれ。
家族 七代目尾上菊五郎の長男。祖父は七代目尾上梅幸。母は女優の富司純子、姉は女優の寺島しのぶ。
初舞台 昭和59年2月歌舞伎座『絵本牛若丸』牛若丸で六代目尾上丑之助を名のり初舞台。
襲名 平成8年5月歌舞伎座『弁天娘女男白浪』弁天小僧菊之助、『鏡獅子』小姓弥生・獅子の精で五代目尾上菊之助を襲名。
受賞 平成8年浅草芸能大賞新人賞。同14年度松尾芸能賞新人賞。同17年読売演劇大賞杉村春子賞、朝日舞台芸術賞寺山修司賞。同17年度芸術選奨文部科学大臣新人賞ほか受賞多数。

平成26年

3月 三月花形歌舞伎」(京都四條南座)
『与話情浮名横櫛』与三郎/『京鹿子娘道成寺』白拍子花子
5月 團菊祭五月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『勧進帳』富樫左衛門/『春興鏡獅子』小姓弥生・獅子の精
6月 六月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『春霞歌舞伎草紙』 名古屋山三/『実盛物語』小万/『蘭平物狂』水無瀬御前
7月 七月大歌舞伎」(大阪松竹座)
『女夫狐』楠帯刀正行/『菅原伝授手習鑑』「寺子屋」源蔵女房戸浪/『真景累ヶ淵』新吉
10月 錦秋名古屋 顔見世」(日本特殊陶業市民会館)
『棒しばり』太郎冠者/『人情噺文七元結』角海老女房お駒/『本朝廿四孝』武田勝頼/『伊勢音頭恋寝刃』福岡貢
11月 吉例顔見世歌舞伎」(歌舞伎座)
『井伊大老』昌子の方/『御存鈴ヶ森』白井権八
12月 平成26年12月歌舞伎公演「通し狂言 伊賀越道中双六」(国立劇場)
『伊賀越道中双六』和田志津馬

平成27年

1月 平成27年初春歌舞伎公演「通し狂言 南総里見八犬伝」(国立劇場)
『南総里見八犬伝』犬塚信乃
2月 二月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『積恋雪関扉』小野小町姫・傾城墨染実は小町桜の精/『一谷嫩軍記』「陣門・組打」熊谷小次郎直家・無官太夫敦盛

ようこそ歌舞伎へ

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