歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



博多座「六月博多座大歌舞伎」『播州皿屋敷』梅玉さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 中村梅玉

上方歌舞伎を鴈治郎さんと一緒に盛り上げていければ

 ――1、2月が大阪松竹座、4月が歌舞伎座、6月の博多座。梅玉さんは鴈治郎さんの襲名披露興行にすべてご出演されています。

 襲名に声を掛けていただくのはうれしいものです。先祖をたどれば親戚ですし、二代目鴈治郎のおじさんにも、三代目の兄さん(坂田藤十郎)にも、すごくお世話になってかわいがっていただいているし、今度の鴈治郎さんとも彼の初舞台からご一緒しています。ですから襲名は、身内のことのようにうれしいですよ。

 スタートの松竹座では、「がんじろはん!」と声をかける人もいらっしゃり、鴈治郎という名を皆さんが待ちかねていたんだなという気がいたしました。4月の歌舞伎座では『河庄』の孫右衛門を勤めましたが、初代鴈治郎の治兵衛のときには、二代目梅玉が孫右衛門を演じたという話をうかがいました。所縁を感じましたよ。

 ――2月の松竹座に続き、博多座でも『曽根崎心中』の久右衛門をなさいます。

 松竹座では上方のアクセントに苦労し、寿治郎さんに随分教えていただいて直しました。藤十郎の兄さんは、本当にお初そのもの。横から見ても後ろから見てもかわいいんです。芸の力ですが、大したものだなと思いました。私は徳兵衛を1回やらせていただいています(平成6年9月歌舞伎座)。そのときは先輩のお兄さんの相手役でただ夢中でしたが、今回、脇から拝見していて、つくづく素晴らしいお初だと思いました。

 ――『芸道一代男』では主演の鴈治郎さんのお父様である(三世)中村翫雀を勤められます。

 まだ本ができ上がっていないのですが、(補綴・演出の)今井豊茂さんと鴈治郎さんには「たくさんせりふがありますよ」と脅されています。梅玉の名は上方で活躍した三代目歌右衛門の俳号に始まります。三代目梅玉までは上方の俳優ですし、自分の襲名のときにも申し上げましたが、名を継いだ私も上方の芝居をいろいろやらせていただきたいと思っております。

 こうして鴈治郎さんの襲名披露興行で上方狂言を演じられることは、いい勉強の機会でもありますし、喜びでもあります。鴈治郎、梅玉で一緒に上方歌舞伎を盛り上げていけたらいいなと思いますね。

中村梅玉 高砂屋!

中村梅玉さんをもっと知りたい!

中村梅玉(なかむら ばいぎょく)

生まれ 昭和21年8月2日、神奈川県生まれ。
家族 六代目中村歌右衛門の長男。弟は二代目中村魁春。
初舞台 昭和31年1月歌舞伎座『吾背子恋の合槌 蜘蛛の拍子舞』小坊主福才で加賀屋福之助を名のり初舞台。
襲名 昭和42年4・5月歌舞伎座『妹背山婦女庭訓』「吉野川」久我之助清船、『絵本太功記』武智十次郎光義、『仮名手本忠臣蔵』「山科閑居」大星力弥、『助六曲輪菊』三浦屋白玉で八代目中村福助を襲名。
平成4年4月歌舞伎座『祇園祭礼信仰記 金閣寺』此下東吉後に筑前之守久吉、『伊勢音頭恋寝刃』福岡貢で四代目中村梅玉を襲名。
受賞 平成元年度日本藝術院賞。同2年眞山青果賞大賞。同19年紫綬褒章ほか、受賞・受章多数。

平成26年

6月 六月博多座大歌舞伎」(博多座)
『三人形』若衆/『恩讐の彼方に』中間市九郎後に僧了海
7月 平成26年7月歌舞伎鑑賞教室」(国立劇場)
『傾城反魂香』浮世又平後ニ土佐又平光起
8月・9月 松竹大歌舞伎 西コース」(全国公演)
「襲名披露 口上」/『義経千本桜』「川連法眼館の場」源義経
10月 十月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『伊勢音頭恋寝刃』今田万次郎/『道行初音旅 吉野山』佐藤忠信実は源九郎狐
11月 平成26年11月歌舞伎公演」(国立劇場)
通し狂言『伽羅先代萩』足利左金吾頼兼・細川勝元
11月・12月 吉例顔見世興行」(京都四條南座)
『新口村』亀屋忠兵衛/『仮名手本忠臣蔵』「九段目」大星由良之助

平成27年

1月 壽初春大歌舞伎」(大阪松竹座)
『廓文章』吉田屋喜左衛門/『河内山』松江出雲守/『将軍江戸を去る』徳川慶喜
2月 二月大歌舞伎」(大阪松竹座)
『曽根崎心中』平野屋久右衛門
4月 四月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『六歌仙容彩』「業平小町」在原業平/『成駒家歌舞伎賑』芝居茶屋亭主/『河庄』粉屋孫右衛門
5月 團菊祭五月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『神明恵和合取組』焚出し喜三郎

ようこそ歌舞伎へ

バックナンバー