歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



歌舞伎座「三月大歌舞伎」『於染久松色読販』
玉三郎さんのこと、お教えします

ようこそ歌舞伎へ 

お客様のお望みがあれば

 ――南北物には多くご出演ですが、どんな印象をお持ちでしょうか。

 南北といってもひとくくりにはできません。先ほども言ったように字余り、字足らずと、下座音楽に頼らない部分があるということ、時代世話なところがあるということでしょうか。話が黙阿弥のように理屈でとおるのではなく、飛んでいくということをしっかり捕まえれば、南北になるんじゃないかなと思います。

 ――ほかに大切なことがあれば、お教えください。

 南北物は、合方、三味線との速度なり、相性がきちっとしていないといけないんです。大太鼓とか釣鐘の音、風音であるとか、大どろ、薄どろ、黒御簾音楽との融合というのがすごく大事になります。ノリ、間合いですね。せりふにどうやって乗ってくるか、ということをやっていかないといけないです。

 ――夜の部では、『滝の白糸』の演出をなさいます。白糸はご自身が何度も演じてこられたお役です。

 新派の芸は、(初世)喜多村緑郎さんとか花柳章太郎さんがつくられたもので、江戸時代から代々伝わってきたものではありません。

 『滝の白糸』も、脚本家によっていろいろな版があり、一概には言えないんですよ。ですから今回も、演劇としてやる、ということですね。こうやればよりよく見えるであろうということを演出したいと思っています。

 ――昨年は、シャンソンの名曲を歌われたCD「邂逅~越路吹雪を歌う」を発表され、コンサートもなさいました。今年も4月12日にNHKホールでコンサート「越路吹雪を歌う『愛の讃歌』」が予定されています。今後もコンサート活動はお続けになりますか。

 昨年が越路さんの三十七回忌だった流れでそうなりました。お客様に要求していただいたら、そのために舞台に出る、お客様あっての役者なので、すべて、それに向かって一つずつ丁寧にやっていくのがいいかなと思っております。

 ――編集、監修もなさったシネマ歌舞伎の新作『京鹿子娘五人道成寺/二人椀久』は、3月も東劇で上映延長されるそうです。

 2月に引き続き3月も、歌舞伎座では舞台出演、東劇ではシネマ歌舞伎の上映がございます。舞台も、映像も、それぞれの魅力があるものですので、お楽しみいただけたらと思っております。

※シネマ歌舞伎『京鹿子娘五人道成寺/二人椀久』の上映情報はこちら。

大和屋!

坂東玉三郎さんをもっと知りたい!

五代目 坂東玉三郎(ばんどう たまさぶろう)

生まれ 4月25日、東京生まれ。
家族 養父は十四代目守田勘弥。
初舞台 昭和31年十四代目守田勘弥の部屋子となる。同32年12月東横ホール『菅原伝授手習鑑』「寺子屋」小太郎で坂東喜の字を名のり初舞台。
襲名 昭和39年6月、十四代目守田勘弥の養子となり、歌舞伎座『心中刃は氷の朔日』浪花屋娘おたま、『八代目市川團十郎』小娘おみよで五代目坂東玉三郎を襲名。
受賞、受章 昭和45年度芸術選奨新人賞、同59年度都民文化栄誉賞、平成3年フランス芸術文化勲章シュバリエ、同9年毎日芸術賞、読売演劇大賞最優秀男優賞、同21年菊池寛賞、同23年京都賞、同24年重要無形文化財保持者(人間国宝)認定、同25年フランス芸術文化勲章コマンドゥール、同26年紫綬褒章、同27年日本芸術院賞恩賜賞ほか多数。
この一年の舞台

平成29年

4月 「坂東玉三郎特別舞踊公演」(下関市民会館)
「お目見得 口上」/『傾城』傾城/『藤娘』藤の精
5月・6月 「坂東玉三郎×鼓童 特別公演『幽玄』」(Bunkamuraオーチャードホール/新潟県民会館/愛知県芸術劇場)
『幽玄』
6月 「坂東玉三郎特別舞踊公演」(京都府丹後文化会館)
「お目見得 口上」/『秋の色種』/『羽衣』
7月 「坂東玉三郎特別舞踊公演」(パトリア日田)
「お目見得 口上」/『傾城』傾城/『藤娘』藤の精
9月 「坂東玉三郎×鼓童 特別公演『幽玄』」(博多座/ロームシアター京都)
『幽玄』
10月 「芸術祭十月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『沓手鳥孤城落月』淀の方/『秋の色種』女
10月・11月 「坂東玉三郎 映像×舞踊公演」(八千代座)
「お目見得 口上」/『京鹿子娘道成寺』白拍子花子/『稲舟』遊女/『鷺娘』鷺の精
12月 「十二月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『瞼の母』水熊のおはま/『楊貴妃』楊貴妃

平成30年

1月 「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」(大阪松竹座)
「お年賀 口上」/『元禄花見踊』元禄の女/『秋の色種』女/『傾城』傾城
2月 「二月大歌舞伎」(歌舞伎座)
『壽三代歌舞伎賑』茶屋女房/『仮名手本忠臣蔵』「七段目」遊女お軽

ようこそ歌舞伎へ

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