歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」『俊寛』
知っているともっと面白くなる!

ようこそ歌舞伎へ 中村歌六

初代吉右衛門ゆかりの演目に出演

 ――昼の部では『河内山』の和泉屋清兵衛にご出演です。

 今年の「秀山祭」は、初代吉右衛門のおじ様の得意となさっていた世話物の『河内山』と時代物の『俊寛』を昼夜で演じられます。「秀山祭」にかける吉右衛門のお兄さんのお気持ちが、狂言を見ただけでわかりますよね。

 ――お藤(浪路)のために河内山に100両を渡す大店の主人です。

 いくらかわいい親類の娘のためとはいえ、ぽんと100両出すんですからね。大きな骨董店の旦那というのは人を見る目もあっただろうし、河内山は悪党だけれども、頼めばやってくれそうな人だろうなと思ったんでしょう。「同じひじきに油揚げ」でもこの人は違うと、河内山が言ってくれるように見えないといけません。

 ――7月の大阪松竹座では、『河内山』の松江侯をお勤めでした。

 『河内山』では、最近は和泉屋清兵衛を何回か勤めさせていただいていますが、この間は約30年ぶりで松江侯をいたしました。実は、近習にも数馬にも出たことがないんです。

 松江侯は癇癪持ちですが、悪人に見えても品が悪く見えてもいけないし、馬鹿殿様でもいけない。でも、河内山には丸め込まれてしまう。歌舞伎は、もともと町人の見る芝居だから、殿様なんて駄目なほうが皆喜ぶんですよね。明治に入ったとはいえ、江戸の名残がある時代でしょうから。殿様をやり込めたりすると溜飲が下がったのだと思います。芝居にはあまり賢い殿様は出てこない気がします。『魚屋宗五郎』の殿様(磯部主計之助)とか。やっつけて溜飲を下げるのが観客層に受けたんじゃないんでしょうか。

 松江侯も祖父(三世時蔵)が勤めております。4月には御園座の柿葺落興行で『籠釣瓶(かごつるべ)』の栄之丞を初役で勤めましたが、こちらも祖父が何度も演じているんですよ。

「秀山祭九月大歌舞伎」

平成30年9月2日(日)~26日(水)

平家女護島『俊寛』
(へいけにょごのしま しゅんかん)

俊寛僧都 中村  吉右衛門
海女千鳥 中村  雀右衛門
丹波少将成経 尾上  菊之助
平判官康頼 中村  錦之助
瀬尾太郎兼康 中村  又五郎
丹左衛門尉基康 中村  歌 六

忘れられないのは播磨屋に復しての「秀山祭」

 ――「秀山祭」も13年目、11回目となります。歌六さんは全部の回にご出演です。

 ありがたいことです。一番の思い出は60歳の還暦の年(平成22年9月新橋演舞場)に、播磨屋に復させていただき、『沼津』の平作を、播磨屋のお兄さんの十兵衛で勤めたことです。その後もいろいろな役を演じることができました。

 昨年の「秀山祭」では『逆櫓』の権四郎をお兄さんの松右衛門で勤めました。平作も権四郎も曾祖父の三代目歌六が演じた役です。先祖がやった役というのは、やはりうれしいものですよ。特に権四郎は、初代吉右衛門のおじさんが、晩年に好んでなさっていたお役ですから。

 三代目歌六のことは、話でしか知りませんが、わからないことは波野のおじさんに聞けというぐらい、ものをよく知っていたそうです。

ようこそ歌舞伎へ

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