インタビュー・文 富樫佳織、写真 松竹衣裳(株)、構成 栄木恵子(編集部)

 古より日本人は、身の回りのものに祈りや魔除けの意味を込めた様々な文様を施してきました。仏教伝来とともに大陸から伝えられた文様は貴族の間で珍重され、衣や日常の器に写し取られます。そして江戸時代、庶民が豊かになりおしゃれを楽しむようになると文様を染め抜いた着物や小物が爆発的に増えました。

 江戸の文化を現代に残す歌舞伎は、文様の宝庫です。美しい衣裳に描かれた文様のひとつひとつを見れば、先人が戯曲に込めた深い思いが読み解けるはず。
東京藝術大学先端芸術表現科で教鞭をとり、唐草模様の誕生とデザインの変容を綴った『唐草抄』の著作もある伊藤俊治教授とともに文様の意味を解き明かしながら、歌舞伎を再発見します。

 今回は美しい衣裳の変容で魅せる「舞踊」に注目します。
変化する衣裳、そこに描かれた文様のひとつひとつには、物語を際立たせる意味がありました。

  • 其の一荒ぶる魂を表現するための文様
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  • 其の二古来からの信仰をビジュアル化する文様
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  • 其の三力そのものの表出を示す聖なる文様
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  • 其の四一枚のタイルの物語『志野釉菱重ね文敷瓦』
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歌舞伎文様考

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