歌舞伎文様考

インタビュー・文・富樫佳織、構成・栄木恵子(編集部)

 四季折々の自然や花鳥風月に特別な想いを抱いて生きてきた私たち日本人。

 その美意識は「文様」という美的パターンに凝縮され、暮らしを彩ってきました。

 江戸から400年続く歌舞伎の舞台もまた、さまざまな時代の、そして通人たちが生み出してきた美しき文様なしでは語ることができません。

 舞踊『藤娘』の藤の精が締める「ふじ」という言葉をデザインした文様と舞台の大きな藤の木との見事なコントラスト。御殿を飾る竹や四季の花をモチーフにした文様。『実盛物語』の実盛が身につけている裃には、はるかシルクロードを経て伝わった唐草の意匠が刻まれています。

 文様を通して歌舞伎を観れば、日本が育んで来た美と歴史の再発見ができるはず。

 東京藝術大学先端芸術表現科で教鞭をとり、唐草模様の誕生とデザインの変容を綴った「唐草抄」の作者でもある伊藤俊治教授と歌舞伎の美しさを探訪します。

 歌舞伎を、そして劇場を文様で読み解く新趣向の知的探訪。本日は東銀座の歌舞伎座を訪れました。

  • 其の一文様に生命を与える芝居空間
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  • 其の二歌舞伎の舞台に日本の自然観を読み解く
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  • 其の三文様に生命を注ぎ込む舞台の魔力
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  • 其の四1枚のタイルの物語『伝東大寺敷瓦』
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