ニュース

菊之助、勘九郎、歌舞伎座『ぢいさんばあさん』に向けて

菊之助、勘九郎、歌舞伎座『ぢいさんばあさん』に向けて

 

 12月1日(水)から始まった、歌舞伎座「十二月大歌舞伎」第二部『ぢいさんばあさん』出演の尾上菊之助、中村勘九郎が、公演への意気込みを語りました。

先人たちが築き上げた世界に挑む

 森鷗外の短編小説を原作に、劇作家の宇野信夫が作・演出を手がけ、昭和26(1951)年に初演された新歌舞伎『ぢいさんばあさん』。変わらぬ夫婦愛を描いた心温まる名作に、今回初役で挑戦するのは、菊之助と勘九郎です。約5年ぶりに夫婦役で共演する二人が、それぞれの父、そして祖父も勤めてきた伊織とるんというおしどり夫婦を勤めます。

 

菊之助、勘九郎、歌舞伎座『ぢいさんばあさん』に向けて

 

 菊之助は過去に2度、父・尾上菊五郎がるんを勤める舞台で若夫婦のきくとして本作に出演。「お互いのことを思う、偲ぶ、慈しむという、今ではなかなか感じづらくなっている日本人が大事にしなければいけない心が、この作品にはこもっていると感じていました。今回は勘九郎さんと一緒に勤めさせていただきますが、二人で先人たちが築き上げてきた心を大切にしながら、勤めていきたいと思います」と、意気込みを語ります。

 

 勘九郎は以前、父・十八世中村勘三郎が伊織を、坂東玉三郎がるんを勤めた舞台に、るんの弟の久右衛門として出演。久右衛門としての出番を終えた後も、毎日舞台を見ていたと言い、「演じていないのに毎日涙が出ていた記憶があります。とても温かい作品ですし、父や祖父のようにチャーミングでかわいらしい伊織や夫婦の姿を、菊之助さんとともにお見せできればいいなと思っております」と、笑顔で述べました。

 

菊之助、勘九郎、歌舞伎座『ぢいさんばあさん』に向けて

 

一丸となって、心を込めて

 今回、ともに『ぢいさんばあさん』に挑む若手俳優について、「皆でこの作品を良くしようという心意気が一つの方向に向かっています。一場面一場面、皆でつくり上げていくお芝居だと改めて感じています」と、菊之助。5年ぶりの夫婦役について、「二人で話し合いながら演じていければ」と笑顔を見せると、勘九郎も、「今、稽古をしながら、毎回新鮮にできることがすごく幸せです。本当に信頼しきっている方なのでとても楽しいです」と応え、充実した稽古の様子がうかがえます。

 

 最後に、菊之助が「勘九郎さん演じる伊織との日々の舞台での化学反応を楽しみながら、(伊織とるんが再会するまでの)37 年という時間をかみしめて日々勤めたいと思っております」、勘九郎が「今はまだコロナ禍で、大切な人、会いたい人に会えない時代ですので、とてもお客様の心に刺さる作品になっていると思います。先人たちが築き上げてきたすばらしい演出や技を受け継ぎながら、今の私たちの心を入れて勤めたいと思っております。ほっこりできる作品ですので、ぜひ劇場へ足をお運びください」と、それぞれに抱負を語り、締めくくりました。菊之助と勘九郎が心を込めて挑む『ぢいさんばあさん』に、どうぞご期待ください。

 歌舞伎座「十二月大歌舞伎」は26日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

 

2021/12/01