ニュース

玉三郎、愛之助が語る、南座「坂東玉三郎特別公演」

玉三郎、愛之助が語る、8月「坂東玉三郎特別公演」

 

 2023年8月3日(木)に開幕する南座「坂東玉三郎特別公演」に出演する坂東玉三郎と、片岡愛之助が、それぞれの思いを語りました。

笑いのなかの人間模様を

 南座で夏の特別公演を続けてきた玉三郎。今年は平成元(1989)年に自身が初演をした、『怪談 牡丹燈籠』を大西信行脚本により上演します。「純歌舞伎の世話物としての(三遊亭)円朝の作品は、お家騒動などが大きく描かれますが、私は伴蔵とお峰がしっかり書かれていた方がいいと思いました。大西さんの脚本は話術を大切にされていて、笑いのなかに人間模様が出てくるのが大好きでしたので、こちらを上演しました」と、初演時の経緯を振り返ります。

 

玉三郎、愛之助が語る、南座「坂東玉三郎特別公演」

 

 愛之助との共演について、「小さいときからご一緒していますが、この江戸の世話狂言を愛之助さんがどう料理するか、テレビなどで見せる愛之助さんの楽しい面がどのように出てくるのか、期待しています。ぜひお互いに遠慮なく、つかみ合いで芝居していきたいと思います」と、微笑みます。それを受けた愛之助も、「伴蔵のお役を初めて勤めさせていただきます。怪談とはいえ、もとは落語の作品ですので、楽しんでいただけるようにできております。大和屋のお兄さんの胸を借りて、怖がりながら、楽しみながら、勉強していきたいと思っております」と、緊張をにじませながらも、気合十分な様子を見せました。

 

懐かしい時代の物語

 昨年は南座の『東海道四谷怪談』で共演した二人。「同じ江戸の怪談で人間の闇を描いていますが、『怪談 牡丹燈籠』は、ぶっかえりや早替りなどの歌舞伎的趣向ではなく、人情会話、世話物から出てきたという点が大きく違います」と、玉三郎。「幽霊が100両を持ってくる面白さ、そして関口屋の場面は、裕福になった人間の心のすれ違いも面白いです。世話物の騒動は現代のように深刻ではなく、喧嘩したからこそ仲直りできる、どこか懐かしい時代ですので、お峰の楽しさは特別ですね。また、お六が昔の長屋の友達に心の内を明かす場面は、独特で胸に響きます」と、作品の魅力に触れます。

 

 続いて愛之助も「怖いのは、やはり幽霊よりも、生きる人間の執着ではないでしょうか。昨年、(『東海道四谷怪談』の)民谷伊右衛門を勤めさせていただいたときも、人が生きることの力強さを感じました。このお芝居でも、それぞれのカップルの生への執着を出すことがとても大切だと思っています。伴蔵はお峰に対しては強気なところがあり、内弁慶ともいえる、可愛いところのある役。少しの心の隙のようなものが、見方によっては悪く見える。人間のいろいろな面が出せれば」と、昨年に続いての共演に向けて、胸の内を明かします。

 

玉三郎、愛之助が語る、南座「坂東玉三郎特別公演」

 

人の心のなかにある怪談

 玉三郎は「人間の根源的な悪が出てきますが、それもほんの出来心のせいかもしれないと思える物語。『怪談 牡丹燈籠』のように、真面目ななかで、人間の切なさがあって、終始一貫笑える日本の作品はあまり多くないかと思いますので、特別で、独特な芝居だと感じます。怪談というものは、人の心のなかにあることが一番大事なんです。笑いのなかから怪談になっていくことが、この作品の楽しい部分だと思います」と、思いを口にします。

 

 「笑いというところでは、自然な会話の流れがとても大切だと思っています。このお芝居のなかの人たちは“生きる”という思いを強く心にもっていますので、そこを出していけるように。伴蔵は一所懸命頑張るところが、ちょっと面白い部分があるので、そういった印象を出せるようにも勤めたいと思っております」と、愛之助も抱負を語りました。

 南座「坂東玉三郎特別公演」は、8月3日(木)から27日(日)までの公演。チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2023/06/28