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十八世中村勘三郎七回忌追善公演を前に「偲ぶ会」開催

十八世中村勘三郎七回忌追善興行を前に「偲ぶ会」開催
 

 

 9月27日(木)、10月歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」、11月平成中村座「十一月大歌舞伎」が七回忌追善公演となる、十八世中村勘三郎の「偲ぶ会」が開かれました。

 歌舞伎座の追善公演の初日を前に、都内で催された「偲ぶ会」には、早い時間から大勢の出席者が、白薔薇を手に献花の順番を待つ長い列をなしました。

 

 時間となって、初めに迫本淳一松竹株式会社社長が挨拶に立ち、会場の中央に掲げられた遺影を見やりながら、「古典の芸を継承し、また、進取の気質に富んだ方で、現代を代表する劇作家との新作歌舞伎の上演と、大変な功績を残していただいた」と、生前の偉功を称えました。「勘九郎さん、七之助さん、今の二人の活躍を見ていただけたら、さぞかし喜ばれるんじゃないか」と続け、今回の追善公演で、「諸先輩方に囲まれ、新たなステージに上がることを期待しております」とエールを送りました。

 

十八世中村勘三郎七回忌追善興行を前に「偲ぶ会」開催

 勘九郎は、広い会場を埋め尽くすほど大勢に集まっていただいたことに深く感謝し、一礼をしたのち、しみじみと言葉を絞り出すように挨拶しました。「今日を迎え、お父さんと丸6年会っていない。なんだか不思議です。あまりにも突然、せっかちに逝ってしまったものですから、ちょっと長い巡業に行っていて、ひょっこり左手をポケットに突っこんで帰ってくる気がしてなりません。献花をしてくださった皆様とご挨拶させていただいて、父に会いたいな、という気持ちが増しましたし、なによりも、父が皆に会いたいだろうなと思いました。なんだか本当に悔しいです」。

 

 勘九郎が涙をこらえながら続けたのは、「その父の追善を、父が必ず立つ、と言ってかなわなかった愛する歌舞伎座と、彼が全霊をかけた平成中村座、二つの劇場で公演ができるということ。これもひとえに父のお蔭、大好きな先輩方、同輩、後輩、スタッフ、裏方、そして、父を愛してくださった皆様のお蔭と本当に深く、厚く御礼申し上げます」という感謝と、公演に向けての熱い気持ちでした。

 

 七之助も深い感謝の念を表し、「10月、11月と2カ月連続で追善を催させていただけること、本当に幸せに思っております。皆様お一人おひとりとお顔を拝見、ご挨拶させていただきまして、父への愛、また、力をいただきました。愛と力を心に刻み、偉大なる諸先輩方の力を借りて、2カ月勤め上げることが、父を愛してくださったお客様、父への恩返しだと思っております。ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます」と、最後はまっすぐな眼差しを向け、会場からの温かい拍手を浴びました。

 献杯の発声には十七世、十八世勘三郎が眠る西徳寺の元総長、大谷義博氏が立ち、「(命日の)12月5日がまいりますと、また再び、悲しみがこみ上げてきます。57年のご活躍でございました」と、初めて会った当時、6歳の勘九郎(十八世勘三郎)との思い出を披露し、会場を和ませました。

 

 「皆様ご存じのとおり、賑やかな人ですから」、今宵は無礼講でと勘九郎が挨拶のなかで語ったとおり、会場のあちこちで十八世の思い出話に花が咲き、涙と笑顔があふれる偲ぶ会となりました。歌舞伎座百三十年「芸術祭十月大歌舞伎」は10月1日(月)から25日(木)まで、平成中村座「十一月大歌舞伎」は、11月1日(木)から26日(月)まで、浅草寺境内本堂裏仮設劇場で行われます。

 

十八世中村勘三郎七回忌追善興行を前に「偲ぶ会」開催

 勘九郎、七之助とともに、勘太郎、長三郎も家族の一員として、献花された方々に挨拶

2018/09/28